微睡みに落ちる２【降谷零/安室透】

Case.45 ページ5

《回復入ります！》

REIちゃんのスキルの恩恵を受け、敵に突っ込む。ダウン状態ならば、広範囲攻撃も怖くない。スキルを連発して、一気に畳み掛けた。

「──よしっ！」

HPを削りきり、敵のアバターが明滅する。もがくようなモーションが入って、討伐完了の音楽が流れた。

「やった…！！」

経験値が上がり、職業レベルが大幅にアップする。加えて、ドロップ報酬がそれぞれに入った。

《9さん、来てくれてありがとう！》
《REIさんいるかと思って、ログインしたとこだったから。間に合って良かった》
《すごく助かりました！》

会話を見る限り、REIちゃんとは結構仲が良いらしい。

《はじめまして、ユーヤといいます。さっきは本当に助かりました》
《はじめまして、ナインです。お役に立てて良かったです。あと、敬語はなくていいですよ》
《助かる。こちらもなくて大丈夫だ》
《ありがとう》

中性的な話し方だからか、接しやすい印象だ。女性アバターだが、プレイヤーはどちらなのだろう。
…いや、ゲームでそれを探るのは無粋だな。
少なくとも、ゲームでは女性として接するべきだ。とはいえ、こんなに高レベルの弓騎士なら、守るより守られる方が多そうだが。

《9さんとは、2週間前に知り合ったんです。あの時はまだ始めて間もなかったのに、すっかり頼もしくなって》
《それはREIさんが色々教えてくれたおかげ。それに、弓騎士はサブだから、メインならもう少し動けるよ》
《えっ、今のサブなのか！？》
《うん。メインはアサシンだよ》

2週間前に始めたばかりで、職業二種だと！？
しかも、サブであれだけの強さだなんて、かなりやり込んでるということか。
このゲーム──『怪物コレクション』は、なかなかレベル上げが難しい仕様になっている。プレイヤーレベルが高くても、職業をそれぞれやり込んでおかないと、さっきのような高スキルは獲得できない。

《すごいな！職業二種持ちするだけでも大変なのに、そんな短期間でここまでレベル上げるなんて！》
《ありがとう。でも、朝から晩まで暇さえあればログインしてるから。やり込みも苦じゃないしね》
《ゲーマーの鑑じゃないか》

羨ましい。自分も暇を見つけてログインしているが、仕事が仕事なだけに、なかなか1日中プレイすることができない。
まぁ、かと言って仕事とゲームを天秤にかけることはしないが。

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