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Case.5 ページ7

「…時に、その髪と目はなんだ?」
「え…どこか変?」

唐突な指摘に、さっと手持ちの鏡を開いて確認する。
栗色のショートヘアと、ブラウンの瞳が映った。

「そういう意味じゃない。髪は背中まで伸ばしていたし、瞳の色は薄いグレーのはずだろう。カラーコンタクトで隠した程度で変装したつもりか?」
「へぇ、覚えてたの」

ライと一緒に居たのは3ヶ月くらいだ。それっきり顔を合わせてなかったから、正直忘れてると思ってたのに。
感心していると、秀一は小さくため息をついた。

「話を逸らすな。見た目の印象は変わるが、すぐにバレるぞ。…組織から身を隠しているのは、お前も同じだろう」
「…まぁね。でも秀一と違って、私はFBIだってバレたわけじゃないし」

もちろん見つからないに越したことはないけど、見つかったとしてもすぐに殺されることはない。相手があの男でない限り。
それは秀一も知っているはずなのに、いまだに物言いたげな顔をしてる。
まさか、こんなに心配してくれるとは思わなかったな。

「大丈夫。秀一のレベルとまではいかないけど、必要な時はちゃんと変装するから」

ね、と念を押せば、秀一は分かったとしぶしぶ頷いてくれた。自分の身は自分で守れって主義だと思ってたのに、意外な発見だ。
本当にライとは別人だと実感していると、秀一がおもむろに立ち上がった。

「そろそろ部屋に案内しよう。ジェットラグも残っているだろうし、夕飯まで寝るといい」
「助かる。座ってゆっくりしたからか、ちょうど頭がぼんやりしてたの」

あくびをひとつ噛み殺して、ショルダーバッグに手を伸ばす。と、ひょいとそれを奪われた。代わりに左手が差し出される。

「ふふ、ありがと」

その手を取って立ち上がると、絶妙に歩幅を合わせてエスコートされた。
こういうところは紳士よね。
組織にいた頃も、いつの間にか荷物が運ばれていて驚いたのを覚えてる。
まさか最初に見つけた共通点がこれとはね。
もっと嫌なところだと思ったのに、どうやら見当外れだったらしい。
もしかしてこの男…意外と優良物件だったりするのかしら?
そんな考えが頭をよぎる。ジョディが昔付き合ってたっていう話も、これなら納得だ。

「……なんだ?」
「!」

見すぎたらしい。不思議そうな顔でこっちを向いた秀一から、ふわりと煙草の匂いが漂ってきた。
なるほど、ここは相変わらずか。

「…なんでもない」

残念だけど、私はこの物件からは辞退することになりそうだ。

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胡蝶(プロフ) - カイさん» コメントありがとうございます!キャラクターの“らしさ”の部分は結構気にして書いているので、気づいて頂いてとても嬉しいです!更新頑張ります! (2022年5月19日 23時) (レス) id: 1da46a4e4a (このIDを非表示/違反報告)
カイ - えええ…素敵すぎて今日初めて拝見したんですけど、全て見終わっちゃいました…。キャラクターの性格をよく噛み砕いて書いてる印象を受けました。コナンファンには絶対読んでもらいたいー! (2022年5月19日 0時) (レス) @page35 id: 6aad3c552e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年5月18日 2時

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