-13- ページ13
.
「そんで、仲直りしたのか」
「うん、ありがとう智くん」
「どーいたしましてー」
気の抜けた返事をする智くんはお弁当のハンバーグを乱雑に切り分けて口に運んでいる。
「ところで翔くんは？一緒に飯食わなくていいのか？」
「翔ちゃんさっき登校してきたばっかだもん。それに、あの人に呼ばれちゃったし」
「こりないなーあの女」
遅刻早退お手の物。
翔ちゃんは決して優等生さんじゃない。
手のかかる子ほどかわいいのかどうかは知らないがあの人はまたせっせと翔ちゃんを呼び出している。
ちなみにあの先生から翔ちゃんがもらったチョコは昨日の夜私と翔ちゃんの手によって私の両親のお中に納まった。
翔ちゃんがもらってくる大量のチョコを二家族総出で食べるのは毎年の恒例行事である。
「ところで智くん、最近翔ちゃん相葉くんと一緒にいすぎじゃない？」
「……はいはい、そうかもな」
「いくら親友でも一緒にい過ぎだと思うの。私の翔ちゃんなのに」
「翔くんにも男同士だけでつるみたいことだってあるだろ。男同士じゃなきゃできない話も読めない本もあるし」
「でも昨日も翔ちゃん相葉くん誘って振られたっていうファミレスに私を連れてったんだよ？デザートのパフェ一緒に食べてくれたけど」
ここでもイチゴのパフェを頼もうとしたんだけど珍しく翔ちゃんが「いつもイチゴだろ、今日バレンタインだしチョコにしよう」なんて言ってチョコのパフェを頼んでくれた。
もしかしてもしかすると案外翔ちゃんも私がイチゴばかり選ぶことに何かしら思うところがあったりなかったりしてくれるのかもしれないと思うとそんな些細なことがひどく嬉しいものだ。
「……ほんと、もらわなくてよかった痴話喧嘩チョコ」
智くんのぼやくような声は一方的に話し続ける私の耳にはこれっぽっちも聞こえていなかった。
(痴話喧嘩生チョコレート)
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 215人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年2月14日 18時
