ファイル01 あの日 ページ2
辺りが明るくなる少し前、どこかの養鶏所の鶏が鳴いたちょっと後くらい、この家にも規則正しい声が響いた。
「おはよーうございます!!!!皆さん!!!おはようございまーーーーす!」
この時間から元気な男。生真面目だが愛情ゆえのちょっぴり不器用な部分を持つ、秩序のカリスマ 草薙理解。
「おはよ、理解くん…」
「依央利さん!!!今日も素晴らしい一日を始めましょう!!依央利さんの今日のテーマは?書き初めはもうしましたか?」
「うん!今日というか、僕の一生のテーマは"滅私 貢献 奉仕"!僕は生涯をかけて皆に奉仕するからね。」
自分の眠気にも草薙君の人間アラームにも従ってしまうDNAに刻まれた根性を持つ男、服従のカリスマ 本橋依央利。
「だ・か・ら、理解くん。この機会に僕の契約書に捺印してみない?起きたてのスッキリした頭でした判断は正常なはずでしょ?」
ピラピラとB5ほどの紙を持って草薙君に迫る本橋君。
「いいえ、結構です。それに!理解の判断はいつだって正常です。」
草薙君は迫ってくる本橋くんの事を顎を引いて見つめているが、その目線はしっかりと契約書に向いている。
「おはよー…、見て、寝起きのテラくん。テラくんは心の広い男、おすそわけしてあげる!」
寝起きとは思えないくらいの整った髪を靡かせながら2人の前に現れたのは、羨ましいほどの自己愛とそれに見合った努力の結晶が詰まった容姿の持主。自愛のカリスマ テラ。
「あ、テラさんおはようございます。」
「依央利くんも起きてたんだ!理解くんの声はずっと聞こえてたけどね。ずーーーーっと!!」
「これでテラさんも気持ちよく一日を始められたことでしょう!!」
自信ありげに胸に手を当てる草薙君を怪訝そうに見つめるテラ君。
「もう、こうやかましいとテラくんの健康が損なわれちゃいそう!国宝のぼくの体調が悪くなったらホントに君たち、呪われるよ。」
いつの間にか彼の間で広がった話は規模が大きくなっていて何やら物騒な話題に変わっていた。
「心配いりません。テラさんはこの理解お兄さんと過ごしているのですから!毎朝5時に起き、毎晩9時に寝て国宝のテラさんも健康に過ごしましょう…「だーーーー!!朝からやけに元気だな君は!!」
綺麗な顔に見合わないような声がテラ君から響く。
「それより!理解くんはテラくんの鼓膜のことを今よりもっと大切にしてよね。」
いつの間にか本橋君がキッチンに向かっていたが、秩序と自愛、二人の会話は止まなかった。
4人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ショコラ | 作成日時:2024年3月21日 15時