蝶よ華よ… 【３】 (ページ14)

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ほっぺをそっと撫でられてる感覚で夢の世界から呼び戻されて…

一度、ん～……と目を瞑りゆっくりと瞼を持ち上げた。

「…おはよ。」

カーテンの隙間から溢れる光と、一輪のカサブランカを背後に背負って微笑む翔さんは王子様そのもの。

昨日、誤解も解けて…

『熱上がると困るだろ？もう寝ろ。』

布団を捲り私をベッドに入るように促す翔さん。

もっと一緒にいたくて、言う事をきかずに縋るように見つめると、困ったように笑って…

『今日はついててやるから布団入れ。』

『…ホントに？』

『あぁ。』

頷いた翔さんに安心して布団に入った。

そして私の手を握ったり、頭を撫でてくれながら家族の事、潤さんや美華さんの事をお話ししてくれながらずっとついていてくれた。

体調の事もあって部屋での夕飯の後、潤さんがお迎えに来てくれて、帰ろうとする翔さんの手を離せなくて…

『そんな目で見るなよ。帰れなくなる。』

って苦笑しながら頭を撫でてくれた腕の袖を摘んだ。

終始、困ったように笑ってる翔さんは私の手を振り払う事もなく、どうしようかと本当に困ってるようで…

『…ごめんなさい…。』

子供みたいな我儘を謝った。

俯く私の頭をポンポンとすると、

『潤。二度手間で悪りぃけど着替え持ってきてくんねぇ？』

その言葉にパッと顔を上げると、微笑んで頷く翔さんと目が合う。

その後、潤さんが着替えを持って来て、私の部屋のお風呂で入浴を済ますと一緒にベッドに入った。

『おいで？』

と、腕を差し出す翔さんの腕の中に収まった。

大胆な事をしてるってわかってるけど、どうしても離れたくなかった私はそれだけ不安で…

翔さんが自分の彼氏だって実感したかったのかもしれない。

『A。俺の意識がまともなうちに寝てくれ。さすがに寝込み襲うほど鬼畜ではねぇから。』

『…はい。』

赤ちゃんがされるみたいに背中をポンポンされてるうちに、そのあったかくて安心できる腕の中で心地よい夢の世界に追いやられて…

『……ったく…人に気も知らねぇで無防備な寝顔で寝やがって。まぁ…可愛いから許すけど。』

なんて翔さんの独り言は聞けなかった…。

「おはようございます。」

自分が離れられなかったのに、なんとなく気恥ずかしくて翔さんの胸に顔を埋めた。

「お前っていうヤツは…。」

呆れられちゃったかな…？

「朝っぱらから可愛いのな。」

頭のてっぺんにチュッとキスが落とされた。