蝶よ華よ… 【３】 (ページ22)

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出張と言うのは実は…

全国各地の同じ流派の師範が集まる勉強会と、その後行われる交流会という名のパーティーだ。

家元である親父が行くのが筋だけど、歳も歳でいつどうなるかわからないと、次期家元として顔見せも兼ねて今年は俺が行く事になっていた。

そもそも、俺よりも元気で今だに現役で女を抱いてるであろう親父が、今日明日どうこうなるわけでもない。

１０年後も家元でいるだろうし、性的にも現役でいるだろう。

全国から弟子やら師範やらが集まるパーティーにAを連れて行くのは酷かもしれないが、俺と結婚するって事は、つまりはそういう事で…

家元の嫁になるという事。

厳しい現実かもしれないけど、受け入れてもらわねぇと…。

嫌だと言われても、今更俺がAを離す事なんてできないんだから…。

「大丈夫か？」

親父と話した後に訪れた二宮家で、一通り話した。

案の定、不安そうな顔をしてるAを抱き寄せるとされるがまま俺に抱かれてる。

「A？何が不安？」

「私で…私なんかで『なんかって言うな』」

卑下する言葉をピシャリと遮る。

少し身体を離して、頬を両手で包み込み…

不安そうな目をした目尻にチュッとキスを落とす。

「Aは俺が今まで出会ってきた女の中で一番可愛い。何よりも俺がお前がよくてお前を選んだ。」

頬を両手で包んだままコツリと額同士をくっつけて、Aの目の中にいる俺を見つめながら言い聞かせる。

「もっと自信もて。間違っても俺の大事なAを卑下する事を言うな。例えお前自身だろうとも俺は許さねぇからな。」

その他の事は可愛いAがした事だ、大抵の事は許せる。

だけど、それだけは許せないし譲れない。

「俺を怒らせて離婚したくなかったら、もう一生『私なんか』と口にするな。」

強い説教じみた口調で言うと、泣き出しそうな目のままコクリと頷く。

「次期家元のこの俺が選んだお前に何か言う輩がいたとしたら…。」

「…。」

「それは俺に喧嘩売ってるのと同じだし、破門されたいバカなんだろう。」

そんなバカはむしろ破門した方が流派を守る為にはいいだろうよ。

「お前は花の王女のカサブランカに負けないくらいいい女だよ？」

「…翔さん…？」

泣きそうなのを堪えてるから声が弱々しく震えて。

「ん？」

「ギュ…して？」

「あぁ…可愛すぎて…もう…。」

この可愛い可愛い華は一生俺が守ってく…。