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恐る恐るドアを開けると、カーテンをしてある室内は薄暗くて…。
カーテンから漏れる光と、間接照明の頼りない光だけで室内を確認すると真正面に不自然な山みたいに盛り上がってる場所があって、音を立てないように近づき覗き込んだ。
その山の下には翔さんが横向きで丸まった状態で半分埋もれていて、こんもりとした山は羽毛布団だと確認できた。
熱があって寒かったのか、ふかふかな羽毛布団の上には毛布までも掛けられていて…
「汗がすごい…。」
額に大量の汗が滲んでいる。
あったまり過ぎちゃったのかな…。
汗の所為で冷却シートも粘着力が落ちたのか半分取れかかっていて交換した方がいいと、ベッドサイドにしゃがみ込みペリッと剥がした。
汗…拭いた方がいいよね？
あ…着替えた方がいいかも…。
冷却シートもどこにあるんだろう…？
失礼かと思ったけどキョロキョロと見渡すも、初めて来たという事と薄暗いのも手伝って何がどこにあるのかなんて当然わからない。
着替えはおそらくクローゼットの中にあるんだろうと予測はつくけど、勝手に見れるわけもない。
やっぱりここは松本さんに…と、音を立てないようにと立ち上がり…
「…え…？」
パッと手首を掴まれる。
咄嗟に布団を被る翔さんを見ると、潤んだ虚ろな目で私を見ていて…。
「ごめんなさい。起こしました？」
「…ん…。」
小さな頼りない声で返事をする翔さんに、
「翔さん？着替えとタオルを持ってきますので、手を離してください。」
手首を話すように言うと、コクンと頷き手を離してくれて顔が隠れるくらい布団を被った。
汗かいてるし、熱くないのかな？
ドアに向かって歩き始めた時…
「…みか…？あと…水も頼む……。」
そう聞こえて…。
急いで部屋を出てパタンとドアを閉めた。
ドキンドキンと脈打つ心臓を無視してパタパタと音がするのも気にする事もなく、急いでリビングまで行くと、松本さんがほんの数分で戻った私を不思議そうに見て。
「あ、あの…翔さん、汗がすごくて…お着替えとお水を…。」
「かしこまりました。すぐにご用意しますね？」
「いえ…私はこのままお暇させて頂ます。本当に具合悪そうでしたので…。」
「え？若が起きられるまでいてくださっても『いえ！またお元気になられたらで大丈夫です！』」
引き止める松本さんを振り切り自分の荷物を持って、
「お邪魔しました。」
ペコリと頭を下げて翔さんの家を出た。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2018年4月17日 18時
