蝶よ華よ… 【２】 (ページ18)

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櫻井さんの目が涙が溢れ落ちそうに潤んでる。

「え？だって…。」

「例えそれがお前の答えだとしても…。」

そこまで言って、抱いていたカサブランカを私に差し出した。

「…え？」

「カサブランカはその容姿と色から取られた花言葉はいくつかあるが…無垢で純粋。お前にぴったりだなって…。」

「…。」

「それと…もう一つ…は雄大な愛。今まで贈ってきた花達も愛の意味を持つ花だったけど、カサブランカはその中でも王様。」

泣きそうだった目はしっかりと私を捉えて、その力強さに圧倒される。

と、同時に櫻井さんの気持ちが伝わってくる。

「だからこれだけは俺が直接渡したかったんだ。」

私に差し出していたカサブランカをもう一度自分の鼻元に近づけ、目を伏せてその高貴な香りを嗅いだ。

「やっぱりお前の香りと混ざった方がより甘くて俺は好きだな。」

そう言ってふわりと笑い…

「今まで贈った花、そしてこのカサブランカがお前に対する俺の気持ち。」

もう一度、私にそのカサブランカを差し出して…

「お前が好きだ。その無垢さ純粋さに俺はどうしょもなく惹かれる。」

真っ直ぐ真剣な目から逸らす事はできずに、受け取るべく手を出すけど……震えてる。

そんな私の震える手の上に一輪にカサブランカを乗せると、花を受け取った私をそのまま抱きしめた。

「やっと…やっと通じた…。俺の気持ちが届いた。1カ月以上だぞ？待たせすぎだろ…。」

「さ、櫻井『もう翔って呼んでくんねぇの？』」

耳元で拗ねたような声が聞こえる。

「あ、あの…ちょっと色々混乱しちゃって…。」

「でも俺がお前を抱きしめていて、お前もそれを受け入れてる事は理解してんだろ？」

「はい…それはわかってます。」

「ん…それならいい。」

小ちゃな声で呟くともっとギュ～ッてキツく抱きしめられる。

私のこめかみにほっぺをくっつけて、今度は大っきなため息…。

「俺は王子様じゃねぇぞ？」

「はい？」

「お前の夢に出てた紳士的な王子様じゃねぇって事。」

「え？！」

聞いてたの？！

「でも…お前の夢の中の王子様よりお前を大事にして愛してやる。」

「…。」

「あ～…なんか俺も夢の中にいるみたいだな。」

「夢じゃ…ないです。」

「……夢じゃないって試しても…いい？」

試すって何をするの？って思ってた私の身体を少しだけ離すと、腕は腰を抱いたままほっぺを大きな手で包んでくれて…

少し顔を傾けた翔さんを目を閉じて受け入れて、そっと唇が重なった…。