妹、悪戯する5 ページ22
「やはりAが成りすましていたのか。」
『やっぱりグルちゃんにはバレてたんだ。』
「変装した部下を見つけられなくてどうする？」
「それゾムさんも言ってたなぁ……」
「面白いことをしていたからあえて黙っていたが…そうか、ゾムは分かったか。」
Aが元の軍服に戻ってから、グルッペンに用があるという鬱と共に総統室へ向かうと、仮眠から目覚めていた部屋の主から言われたことは「なんだ、もう入れ替わりは終わったのか？」だった。Aが朝からの一部始終を話すと、クツクツと笑いながら彼が口を開いた。昔から彼だけは入れ替わりで騙すことはできていなかった。なんで分かるのか聞いたこともあったのだが、曖昧にはぐらかされてしまっていたのは今でもこの兄妹の記憶に新しいものとなっている。
「グルちゃんは凄いよなぁ、小さい時から変装見間違ったこと無いもんな。」
旦那様も分からなかったのにね。』
「お前らを見つけたのは俺だ。その俺が、2人の見分けもつかなくてどうする。」
さも当たり前かのように言ってのけたグルッペンに、虚をつかれた2人は少し目を見開いた。同じような反応を示した2人の様子を見ていたグルッペンは血の繋がりを感じながらクスリとわらった。
「……こうだったから、僕らはグルちゃんについて行こうって思ったんやろうなぁ。」
『そうだね。』
「こうだったとは、なんのことだ。」
「グルちゃんに出会った時の僕らは、互いの事しか頭になかった。」
『あの時出会っていなかったら死んでたと思うな。』
「ほんまそれな。」
『だからこれからもよろしくね。』
「その気でなくともそうするさ……。俺がお前らを手放す時は、俺が最期の時と思え。」
『……何言ってるの？』
「ホンマやね、グルちゃんそういう所アカンと思う。」
『グルちゃんそういう所あるよね。』
「ちょ、なんのことや。」
ダメだなぁと言いながら真顔でうなづき合う兄妹にグルッペンはなにか間違ったことでも言っただろうかと考えた。しかしどう考えても失言が見つからず、思わず聞いてみればにっこりとわらった兄妹がグルッペンに揃って口を開いた。
「『その時は共に命を落とすのでそのつもりでいてくださいね？』」
「ハハッそうだなお前らはそういう奴らだ。」
『出会った時から私達はグルちゃんのものだよ？ね、鬱兄。』
「せやなぁ。よう言うたAちゃん。」
「…正常な様でおかしいよなお前らは。」
「嫌じゃないやろ？」
「ああ、それくらいでないと困るが。」
悪戯っぽくわらったこの国の主に、兄妹は改めて信頼を寄せるのであった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 770人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
零歌 - え、うますぎでしょ！？ 憧れます‼ 続き、待ってます、！ (2023年3月31日 6時) (
レス) @page36 id: 2cc0278ca8 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメル(プロフ) - 面白いところで終わってしまった…！！これからも、気長に作品更新を待っているので無理のないようにしてください！いつでも待ってますから！！！ (2022年8月17日 9時) (レス) @page36 id: 803f58ab86 (このIDを非表示/違反報告)
歴(プロフ) - 小雨さん» こんな更新停滞小説にコメントありがとうございます神作品などありがたいお言葉まで！！そのうちひょっこり現れたらまた楽しんでいただければと思います。 (2020年11月22日 17時) (レス) id: 957608dc41 (このIDを非表示/違反報告)
小雨 - 歴さん。こんにちは！いやー見た瞬間に神作品だと分かりました()更新無理しないでください！出来るときにフラッと帰ってきて下さいね！それまでのんびりと待っておきます！ (2020年11月9日 10時) (レス) id: 459de324fd (このIDを非表示/違反報告)
歴(プロフ) - めっぴぃーさん» こんな更新されてるかも分からん作品にありがたいコメントありがとうございます。のろのろ具合は変わるかわかりませんが、気長に待っていただければと思います。 (2019年1月5日 2時) (レス) id: 957608dc41 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：歴 | 作成日時：2017年8月15日 21時
