ep.82 ページ34
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「A、あなたって本当に最高よ、私の髪がこんなに真っ直ぐになるとは思わなかった！」
パーティーの日の夕方、Aはハーマイオニーの髪をセットしていた。
御相手はかのブルガリアのスター、ビクトール・クラムとあれば、完璧に仕上げるべきに決まっている。
Aは自分の着替えはさておき、制服のままでハーマイオニーにいい香りのするボディクリームを塗りたくり、髪にもオイルや整髪剤を塗り込み、ついでに魔法で髪をキラキラさせておいた。
「こんな魔法いつ使うのかと思ったけど……あるのとないのとでずいぶん違うわ、完璧よハーマイオニー」
ハーマイオニーは鏡を見て大喜びで、くるくると回ったあとAが無理やり押しつけたポーチからチークやらリップやらを取り出して試行錯誤していた。
自分の顔に満足して鏡から顔を上げ、ハーマイオニーははっと息を飲んだ。
恥ずかしそうにもじもじしているAは淡いピーコックブルーのオフショルダードレスに身を包み、肘まであるフローラルレースのロンググローブで印を隠している。
指先が出るデザインのグローブは中指の繊細なリングに繋がっていて、髪をセットする前でも充分完璧に見えた。
「あなたって……」
恥ずかしいからあんまり見ないで とカーテンの後ろに鏡を持っていき、髪と顔をセットするAを、ハーマイオニーは哀しいような微笑ましいような顔で見つめていた。
こんなにも可愛い彼女が、最愛の彼の手を取ってダンスパーティーに行けないことが何より悔やまれる。
ハーマイオニーはその"最愛の彼"を頭の中で睨みつけた。
「そろそろ時間みたいよ＿＿あなたたち、本当に綺麗ね……」
親友のパーバティに置いていかれたラベンダーが部屋に入ってきて、ハーマイオニーとちょうど髪をハーフアップにして蝶の髪飾りをつけ終わったAを見て感嘆のため息をついた。
「あなたもすごく素敵よ」
ラベンダーは肩を竦めて、忙しなく部屋を出ていった。
深く息を吸って、覚悟を決めたような表情を浮かべたAはハーマイオニーの手を握って部屋を出て、会場に向かった。
「戦地にでも行くみたいね」
「同じようなものでしょう…昨日までは散々強がっていたけど、大好きな人が他の女と踊ってるところを見なきゃいけないんだから…」
後ろから射るような視線を感じとったAは言葉を切って振り返り、ハーマイオニーの手をすぐ離した。
「王子様のお迎えよ、ハーマイオニー」
「やめてよ…」
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ちとせ(プロフ) - Rrrrさん» コメントありがとうございます。はい、もちろん……(；；)ただ(私の解釈での)ハッピーエンドにはなりますのでご安心ください(？) (3月9日 9時) (
レス) id: 12c0d6c6fa (このIDを非表示/違反報告)
Rrrr(プロフ) - 最近読み始めた者なのですが救済等は無いのであれば、フレッドもちゃんと…? (3月9日 6時) (レス) id: eeb020f16b (このIDを非表示/違反報告)
赤田 - すごい、悪役令嬢的なことになっても、吹っ飛ばしてる、すごい。 (2023年3月8日 19時) (レス) @page45 id: 3d88a3b324 (このIDを非表示/違反報告)
ちとせ(プロフ) - 村民さん» ありがとうございます♡♡読み返していただけたなんて、とっても嬉しいです(><)フレッドくんのかっこよさの10000分の1も表せていない気がするのですが、これからもお付き合いいただけると嬉しいです( ¨̮ ) (2023年2月20日 12時) (レス) @page48 id: eeb6bd2221 (このIDを非表示/違反報告)
村民(プロフ) - 初めまして！好みのお話で最近フレッドにハマった事もあり1日で何度か読み返させてもらいました！続きも楽しみにしてます٩(๑❛ᴗ❛๑)۶ (2023年2月20日 5時) (レス) @page47 id: 82c45efafd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちとせ | 作成日時：2023年2月13日 13時
