エレンの復讐とアルミンの夢 ページ4
一通り自己紹介が終わったあと、エレンが不意に真剣な表情で私を見た。
「＿＿＿A、俺の母親は2年前死んだんだ」
『！それは……巨人、に』
「エレン」
突然の告白を咎めるようなミカサの言葉に構わず、エレンは続けた。
ミカサは、きっと私のことを思って止めたんだと思った。
私は巨人を見ていないし、家族は全員生き延びたのだから。
エレンは頷いた。
「家に開閉扉の瓦礫が飛んできて＿＿＿母さんはその下敷きになった。俺はその直前、口喧嘩をして家を飛び出したから川の近くにいたんだ。
そしたら…突然〈あいつ〉が壁から顔を出した」
私は小さく首を縦に動かした。
ミカサはもう止めることはせず、アルミンも黙っている
「俺は＿＿＿俺とミカサは走って家まで戻ったんだ。母さんは柱の下にいて…助けられなかった。
知り合いの駐屯兵が俺たちを逃がしてくれたけど、母さんは、母さんは…。
俺が弱いせいだった。俺には力がなかったんだよ」
言葉が詰まったエレンには何も言えなかった。
そのテーブルは誰も言葉を発さない、発せなかった。
なんとか、俯いた顔を上げるとさっきまでとは違う、エレンの瞳に憎悪の色を見つけた。
思わず背中がぞくっとするような、そんな殺気
「けど、弱いやつは強いやつに負けてへこたれるだけしかできないのか！？俺は違う！！
俺は調査兵団に入って！！巨人を駆逐してやる！！！一匹残らず！！」
圧倒された。
巨人にそこまでの憎しみを抱く人は見たことがなかった。
『…その後は？』
「え？」
『いまエレンが言ったように巨人を全て駆逐したら…そのあとはどうするの？』
私の問いかけに答えたのは、アルミンだった。
「＿＿＿僕たちは、海を見るんだ」
『う、うみ？』
「大きな塩の湖なんだ！壁の外には、商人が一生かけても取り尽くせないほどの塩の水があるんだ！
いや、それだけじゃない！炎の水、氷の大地、砂の雪原が外の世界には広がっているんだ！」
きらきらと夢を語るアルミンに、純粋に憧れた。
炎の水
氷の大地
砂の雪原
そして、〈海〉
どれも聞いたことのない、初めて出会う言葉たち。
壁の外は私にとって〈未知〉の一言だった。
『いいね。
アルミンはいい夢を持ってる、羨ましい
私には、2人みたいに立派な夢も希望もない』
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天雪(プロフ) - 体重とか無理のない設定で好きです(笑)素敵な作品、ありがとうございます！ (2020年5月7日 11時) (
レス) id: 9e97a6dad3 (このIDを非表示/違反報告)
紫餡(プロフ) - あかねさん» コメントありがとうございます！！長い間気づけず申し訳ありません。。。本当に不定期としか言えませんが待っていただければ幸いです！ (2019年12月1日 15時) (レス) id: 0463c0f2b9 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 面白いです！更新期待としか言えませんね...(゜Д゜) (2019年7月28日 18時) (レス) id: a4b09d9bbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫餡 | 作成日時：2019年1月22日 16時
