第3章 先生 ページ18
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「...嘘つきじじぃ」
溜息とともにボソリと呟くとそのまま後ろにひっくり返った。
ボブっと柔らかなベッドがそんな私の身体を受け止めてくれる。
エアコンの効いた部屋はとても心地よく、寝転がった瞬間にまた眠りに誘われた。
欲望のままふっと目を瞑り、すうっと眠りに落ちかけたところで、バタンと勢いよく扉が開く。
「あ、また寝ようとして!!もう、なんであんたは毎日毎日そうなの!?少しは奈津を見習いなさい!
あの子なんて毎朝サッカーの練習に出かけてんだから。」
中に入るやいなやガミガミと怒鳴るお母さんに思わず耳を塞いだ。
「...分かってるから。起きるから、静かにして!!」
「...なら、10分で出かける用意しなさい。で、病院に行くこと。おばあちゃんのお見舞いにね。きっと退屈してるだろうから。いいわね。」
盛大な溜息を零し、言いたいことだけ言って部屋を出ていくお母さんにこっそりとあっかんべーをしながら渋々身体を起こした。
...まあ、お母さんの言う通り暇だし。
おばあちゃんのことは結構好きだし。
病院ならエアコンも効いてるだろうし、行くかぁ。
何とか自分自身を説得するようにそんなことを思いながらタンスを開け、ポイポイっと適当に目に入った服を取り出した。
それに素早く着替えながらちらりと先程ベッドに放り投げたスマホに視線を向ける。
... あのサッカーの練習の日から約1週間が過ぎた。
にも関わらず若武さんからの連絡は1度も、ない。
「拒否権ねぇからとか言っといてどういうことだ。
...まあ一応社会人だし、忙しいのかも知んないけどさぁ。」
そんな独り言を言いながら鞄にスマホと財布、定期を突っ込み、ドタバタと階段を駆け下りる。
「いってきまーす!!」
靴を引っ掛けながら家の中に叫んでバタンと扉を開いた。
そして、ギラギラと照りつける太陽にうげっと顔を顰めながら歩み始めた。
...あぁ、暑っつい。
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小四 - 感動しちゃいました。 (2022年4月30日 8時) (レス) @page8 id: a6b1297b7c (このIDを非表示/違反報告)
ゆいゆい - ゆうひ「俺お前のこと好きだよ」 忍「 ちゃんと砂原の声聞こえたんだよかった」 翼「 俺としては必ずキメるつもりなんだ」 砂原「 俺、声聞きたいって言ったろ。聞かせてよ。ひと言でいいから。」 ゆうひ忍翼の3人は恋する図書館砂原は コンビニ仮面に乗っています (2021年4月21日 21時) (レス) id: be27a6782a (このIDを非表示/違反報告)
morosu武(プロフ) - 「俺、才能なんてないよ。いろいろできるって思われてるみたいだけど、それって全部、努カの結果だから。」ハ一ト虫の翼の言葉です!がんぱってください! (2020年10月18日 21時) (レス) id: a42120e652 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - morosu武さん» 似てますか!?ありがとうございます!!いや、一応意識してアーヤちゃんに似せるように書いていたんですけど、書いているうちに あれ?なんかアーヤに似てない、かも…… と不安になっていたので、嬉しいです*何とか早く仕上げていきたいです。頑張ります! (2020年10月17日 20時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - リリーさん» やーっと小塚くんまできました〜!いや、ほんとに進みが遅い。愕然としております。翼と忍、早く登場させたいなぁ……(遠い目)もう段々寒くなってきましたので、リリーさんも体調等お気をつけ下さい。毎回コメントありがとうございます* (2020年10月17日 20時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セダム | 作成日時:2019年7月31日 23時