輪廻は知っている

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「よっ！奈津！！彩奈ねぇも、ちわッス！」




「やっほ！智大！」




「こんにちは、智！」




着いた瞬間、バタバタと走り寄ってきたクリっとした目が特徴の佐竹智大。
奈津とは学校のクラスも一緒でいわゆる親友ってやつ。
毎日わーわー楽しそうに遊んでいるんだ。




「っにしても、マジで楽しみすぎだよな！！
俺、本っ当に秀明通ってて良かった〜！
親はハイスペック入れたがってたけどさ、あっち入ってたらKZに入れなかったじゃん！」




「それな！もう、俺、待ちきれねぇ...！！」




ウズウズしているのが丸わかりなガキ2人に小さく笑いながら じゃあ頑張んなよ と一声掛けて、私は近くの木陰に向かう。




実は、今日、この奈津たちが通うサッカーチームKZに元プロサッカー選手だった人が来て、特別にちびたちに特訓してくれるらしいんだ。
なんでもこのサッカーチームKZ、クラブZのOGらしく、監督がダメ元で頼んだら、OKしてくれたんだって。
それでもう、ちびっ子たちは大喜び。



そして、それを聞きつけた人たちも大勢がその...名前、忘れたけど、その何たら選手を一目見ようと息巻いていたんだ。
けれど、今回、大騒ぎになられても困るってことで、見学する人に制限が出来たの。



その制限が " サッカーチームKZに入っている子供のご家族の方 "



私は、全く行くつもりなんてなかったんだけど、奈津が 来てよ〜 と駄々を捏ねるのと、学校で 絶対写真撮ってきてよね！？ とクラスの子たちから念を押されてしまったので行かざるを得なくなったんだ。

おかげで、今私のスマホにはその催促のメッセージが沢山。




本当、よく朝まで忘れていたわ、私...




はぁ っと溜息を零した。







＊*·







そして、ようやく開始時間になったちびっ子特訓教室。



でも...



「監督！まだ来てくれないの！？」




「あぁ。...もうすぐ来るとは思うんだけどなぁ。」




ポリポリと頭を掻く監督。
ちびっ子たちはブーブー文句を言い始める。




まあ、あんだけ楽しみにしてたら当たり前よ。
全く時間くらい守んなさいよね、何たら選手。



そんなことを他人事のように思いながらぼんやりとちびっ子たちを眺めているとそこに凄い勢いで走ってくる人影。
そして...




「シューーーーーットっ！」




大声でそう叫びながら、バシッと見事ゴールにボールをぶちかました1人の男。
唖然として全員でそいつを見つめた。




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