20滴 ページ23
紫side
どこかで見たことがあるような女の子を見かけた。
何故か、直感で「危ない」と感じた。
Aが川に落ちそうになった後、女の子はAを押した。
その途端
女の子の
二重で大きな目も、
ふわふわの染められた金髪も、
あざとく上で結ばれた二つ括りも
ピンクのかわいらしい服も
全て見覚えがあり、恐ろしく感じた。
な「綾奈ちゃん………っ」
俺を映すカラコンの入った瞳を見て
遠い昔、忘れ去ったはずの記憶が蘇る。
だけど、あの子を捕まえることよりも、
Aの命の方が大切だ。
な「Aっ」
ﾊﾞｼｬｰﾝ
やけに時間が遅く流れてる気がする。
Aが流されていく方へ走る。
死んでほしくない。
そう感じたのは人生で2回目だった。
さっきからパチパチ、と映る映像が邪魔だ。
あの時と全く同じ、状況。
しばらく溺れたA追いかけると浅い川で眠るAが居た。
その姿にはAの銀に染められた髪も、白いパーカーも
真っ黒になった気がした。
俺の後ろから来たメンバーが救急車を呼んでくれた。
硬く瞑られた瞳のついた綺麗な顔は全く動かず
Aに初めてあった時と同じように
乱れた呼吸をしている。
な「綾奈ちゃんが居たってことは俺の、せい………？」
．
綾奈(偽名)
本名(不明)
すとぷりすなー
ななもり。を異常に推しており、ストーキングしている。
本名や素顔も知っているがネットにあげたりはしていない。
ななもり。に近づく女は殺す気でいる。
これまで殺人を何度か繰り返している。
1度、失敗している。
．
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