1滴 ページ3
橋を渡った後に聞こえた私の嫌いな音ーーー
ばしゃーん、と何かが水の中に入るときの音だ。
橋の上には5人のイケメソとキモいうちの上司だ。
逃げようとしている上司を背の高い人が掴んでる辺り………
上司が落ちた人に当たって、当たってしまった人が落ちたんだろう。
あの川はすごく、流れが早い。
この辺りに住んでいる人であの川を泳げるのは私くらいだった。
バシャバシャっと聞こえる音が頭にまとわりついてくる。
あぁ嫌だ。
なんで戻ってるんだ私。
カバンを落として、川に飛び込んで………
馬鹿みたいに。
もうあんな思い、したくないのに。
『大丈夫ですか!』
ドクドクと心臓が痛い。
その人の腕を掴んで陸に戻る。
やばい。
肺が痛い。
発作だ。
死にそう。
「なーくん!大丈夫!?」
私が助けた人はきっと大丈夫だ。
「クッソ、あのオッさんなーくんを落としといて逃げやがった。」
でも、私は………
『ゲホッ、ゲホっ、ッハ、はっ、ごめっ………なさっ』
大丈夫じゃないじゃん。
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