初任務【その4】※多少グロ ページ11
気付けば崖に立っていた。
まるでドラマのワンシーンに入ったみたいだ。
未練なんてない。そう思いたいけれどやっぱり父のことが気になってしまう。考えるな、と頭に言い聞かせる。
落ち着こうと母の写真を取り出す。角で指を切ってしまった。傷は浅かったが、赤黒い血液が地面にぽたりと垂れる。
閉ざされていた一年前の記憶が蘇る。酷い目眩がAを襲った。あの日のことを鮮明に思い出す。
やめろやめろやめろやめろ。
よくもよくもよくよよくも。
ズキズキと痛む頭を抑える。復讐すら出来ない自分が惨めだ。哀れだ。神様はどうしてこんなにも意地悪なのだろう。どれだけ私に辛い思いをさせるのだろう。この先幸せになれる宛てなんてあるはずないのに。
Aは心の中でそう叫んだ。
ようやく落ち着いたのでやっと私は1歩踏み出した。
そして真っ逆さまに飛び降りた。
宙を舞う感覚が心地よい。
自然と目を瞑った。
人が死ぬ時はスローモーションになるとよくどこかで聞いたことがある。どうやらそれは本当らしい。
堕ちていく最中、ポケットに入っていた父の血液が入った小瓶から血液が飛び散る。
視界に赤が差し込む。
気づけばそれは私の指の傷口に付着していた。
瞬間、
何が起こっているのか分からなかった。
確かに私は飛び降りた。時間でも戻ったのか?いや、やはり私は頭がおかしくなってしまったのか。
さっきのものは夢だったのか、ぐるぐると色んな考えが脳内を占めていく。
ぐしゃり
肉片を床に叩きつけたような音が響いた。
崖の下にはぐちゃぐちゃになって四肢を投げ出した、おそらく人だったものがあった。青白い肉体から所々骨が見え隠れしていて、先程まで体内を廻っていたであろうその液はまるでラズベリーソースのようだった。これで 死 体を見るのは2回目になった。
私の意識はそこで途切れた。
目覚めたのは夕方だった。
横には腐りかけようとしている 死 体がころがっている。
本能的に悟った。
この人は、
すると私の背後に白い霧をまとった天使のような生物が立っていることに気付いた。
じっとこちらを見ている。
不思議なことに、その時は恐ろしく平然を保っていた。
何故か、もう何も怖くなかった。
39人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しらとめ(プロフ) - 晴日空あかねさん» (レス出来てなかったので再度失礼します汗)告白だなんて…(照)嬉しさの極みです…泣 頑張りますありがとうございます! (2022年10月6日 18時) (レス) id: a1cf89d02d (このIDを非表示/違反報告)
しらとめ(プロフ) - ドリアンさん» (レス出来てなかったので再度失礼します汗)めちゃめちゃ嬉しいお言葉ありがとうございますっ!!!更新がんばります♩ (2022年10月6日 18時) (レス) id: a1cf89d02d (このIDを非表示/違反報告)
晴日空あかね(プロフ) - え!好きです!(唐突な告白)更新頑張って下さい楽しみにしてます!! (2022年9月28日 17時) (レス) id: e70225fc42 (このIDを非表示/違反報告)
ドリアン(プロフ) - 続きすごく楽しみです(*'▽'*) (2022年9月25日 21時) (レス) @page3 id: f43b62c151 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しらとめ | 作成日時:2022年9月24日 12時