風邪３ ページ33
目が覚める。最初に見えたのは、襖を締め切った、薄暗い部屋の天井。
そして
「おっ、起きたか・・・ったく、風邪ひいたんなら一言言えよな」
愛しい人の呆れ顔だった。
『と、しろさん・・・なん、で』
「近藤さんから聞いた。そうそう。総悟に持ってけって言われたからこれ」
ゆっくり体を起こした私の前に置かれたのは、ちょっとお高いみかんゼリーだった。あの、果肉入りの。
総悟、覚えてたんだ。私がゼリーみかんばっかり食べてたの。
十四郎さんの来訪もあって、風邪による鬱屈とした気分も一瞬吹き飛んだ。でも、はたと思い出す。
『ありがとうございます・・・でも、今私が抜けたから仕事大変なんじゃ、私は大丈夫なので早く戻って「A」』
「お前はもっと人に頼れ。大丈夫だなんて嘘つくな。寝てる最中唸ってたぞ」
え、唸り声聞こえてた！？今さら恥ずかしいと思うも、もう取り消せない。
「まあ体の弱い姉と、危ねぇ兄抱えてたら自然と抱え込む性格になっちまうのは分かるけどな。ただ、俺にはお前を甘やかすことが出来る。折角彼氏が年上なんだ、俺が言うのも何だが、存分に甘えろ」
ペリペリと、ゼリーの蓋を開けながらそう言ってくれる十四郎さん。その言葉に元々高かった体温がもっと上がった気がして、そっと俯いた。
「これ好きなんだろ？なんか食べねぇと薬飲めねぇから、早く食って寝ろ。見る限りまだ熱あるっぽいしな」
『・・・はい』
そそくさと食べちゃって、薬を飲んでからまた布団に入る。
うつらうつらとしてきたところで、一つ、お言葉に甘えてみようかなと、私の中の悪魔が囁いた。
『ねえ、十四郎さん』
「なんだ」
『・・・私がまた起きたとき、ここにいてくれますか？』
この年になって、一人でひく風邪が案外怖かったのだと気付いた。一人では、心が持たない
「ああ、気のすむまで居てやるよ」
私の甘えに、そう笑ってくれた十四郎さんは、私の頭に手を伸ばす。
そのまま、一定のリズムで、優しく、頭を撫でた。
『これ・・・』
「お前の姉も、よくこうやってただろ。お前が嬉しそうにしてたのもたまに見てたから」
嫌だったらやめる。そういった十四郎さんに、私は慌てて首を横に振る。
『すごく、安心、しました』
「そうか、じゃあ」
“おやすみ”
微睡みの中で感じた手の温もりは、私をとても安心させた。
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りんこ(プロフ) - まっつーさん» 確認してびっくりしています。全く意識してなかったです！でもSPY ✕FAMILYは好きです。知らず知らずのうちに寄せてしまったのかも？ (2023年2月5日 19時) (
レス) @page41 id: 75b865d325 (このIDを非表示/違反報告)
まっつー - 最後のあとがきのこんにちはあるいはこんばんはってあったんですけどSPY×FAMILY好きなんですか？ (2023年2月5日 15時) (レス) @page41 id: af3ec55cb1 (このIDを非表示/違反報告)
りんこ(プロフ) - てんどんさん» やっと画像入手することが出来ました！遅くなってすみません…イメージ画像として登場人物紹介欄に貼ってもよろしいでしょうか？ (2022年2月11日 13時) (レス) id: 5b2ad52f60 (このIDを非表示/違反報告)
こまよい雪狐(プロフ) - りんこさん» もちろんいくらでも待ちますよ！頑張ってください！応援してます！ (2022年1月3日 23時) (レス) id: bdceb5c82f (このIDを非表示/違反報告)
りんこ(プロフ) - こまよい雪狐さん» ありがとうございます！次回作とは少し間が空いてしまうかもしれませんが、待っていただけると感謝感激雨霰でございます (2022年1月3日 18時) (レス) id: 5b2ad52f60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんこ | 作成日時：2021年8月3日 12時
