妹さんを僕に下さい!5 ページ20
『幸せの定義って人それぞれ違うと思うの』
手紙を凝視して静かに涙を流す片割れに、そう声をかける。
『まず、総悟、あなたに謝らさせて。あなたがまだ姉さんのことで自分を責めていたことに気付かなくてごめん。あなたは四年間、私の気持ちに気付いて寄り添ってくれてたのに。
私は早く気付いて、あなたにこれを見せるべきだった』
つくづく自分勝手になってしまったと思っている。私の変化を、全部受け止めなければならなかったのは他でもない総悟だ。私は総悟の気持ちを、何一つ考えられてなかった。
『そして、改めてお願い。私と土方十四郎さんの仲を、認めてください。私は、あんなに優しい姉と、こんなに寄り添ってくれる兄がいる贅沢物。でも、四年間以上の歳月を経て、私はこの人と幸せになりたいと強く思ったの』
「進む先は平穏とは無縁な修羅の道かもしれねぇ。でもAとなら、互いの背中庇い合って進むことが出来ると信じている。頼む・・・総悟」
総悟は、涙を流しながら、それでも首を緩く横にふる。
「嫌だ。嫌なんだよ。じゃあなんで俺の幸せはことごとくてめえに奪われる。俺は大好きな家族と元気に生きてりゃそれで幸せだっつのに、てめえのせいで・・・」
総悟の本音。やっと聞けた気がする。弱々しく口にしたその本音が、私の心をぎゅうっと握り潰す感覚に陥って、気付いたら私は、正面から総悟を抱き締めていた。
「やめろよ。どうせお前は止めたってこいつといっちまんだろ?だったらさっさとどっかいけよ」
そこから生まれたのは拒絶。しかし、冷たく突き放したかったのかも知れないけれど、総悟の声は震えていた。
そんな彼を私はいっそう強く抱き締め、強く訴える。
『いかない。私はどこにもいかない!
ただ、私の護るべきものが増えるだけなの。絶対にあなたを置いていかないから。約束する』
護るべきものって、そんなかに俺もはいってんのかよ。文法がぐちゃぐちゃの私の言葉に、泣き笑いでそう返す総悟。
当たり前じゃない。産まれたときから私達は支えあってきた片割れでしょ。
そうだな。そう答えた総悟は、ゆっくりと抱き締め返してくれた。
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りんこ(プロフ) - まっつーさん» 確認してびっくりしています。全く意識してなかったです!でもSPY ✕FAMILYは好きです。知らず知らずのうちに寄せてしまったのかも? (2023年2月5日 19時) (レス) @page41 id: 75b865d325 (このIDを非表示/違反報告)
まっつー - 最後のあとがきのこんにちはあるいはこんばんはってあったんですけどSPY×FAMILY好きなんですか? (2023年2月5日 15時) (レス) @page41 id: af3ec55cb1 (このIDを非表示/違反報告)
りんこ(プロフ) - てんどんさん» やっと画像入手することが出来ました!遅くなってすみません…イメージ画像として登場人物紹介欄に貼ってもよろしいでしょうか? (2022年2月11日 13時) (レス) id: 5b2ad52f60 (このIDを非表示/違反報告)
こまよい雪狐(プロフ) - りんこさん» もちろんいくらでも待ちますよ!頑張ってください!応援してます! (2022年1月3日 23時) (レス) id: bdceb5c82f (このIDを非表示/違反報告)
りんこ(プロフ) - こまよい雪狐さん» ありがとうございます!次回作とは少し間が空いてしまうかもしれませんが、待っていただけると感謝感激雨霰でございます (2022年1月3日 18時) (レス) id: 5b2ad52f60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんこ | 作成日時:2021年8月3日 12時