068.クリスマス ページ23
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「A!!まだクリームできないの?」
「だってぇ……!ミキサー使わないでクリーム作ったことなかったから…」
「もういい!私がやるからAはオーブン見てろ!」
もはや半泣きで一生固まらなそうなクリームをボウルの中でかき混ぜていると、オーブンでスポンジの焼け具合を確認していた幸子に怒られて役割を交代することに。
自分の女子力の無さを痛感して途方に暮れる。
料理、できるようになりたいな。
いつか成宮に手料理を振る舞えるように。
私が20分以上格闘しても固まらなかったクリームを、幸子はなんと3分で完成させてしまった。
「さすがです幸子姐さま」
「姐さまはやめろ」
「ハイ」
「スポンジはどう?」
「んーと……うん、良い感じ!」
「よし、じゃあスポンジにぐるーっとクリーム塗っていこう」
「オーケー!」
タイミング良く飲み物の買い出しに行っていた唯が帰ってきたので、3人で共同作業してクリームを塗ることに。
「それでね、受験終わったら彼と遊園地行くことに…」
「いーなー!リア充爆発しろ」
「いや幸子もリア充じゃん」
「気分的にだよ」
そして女子が集まれば自然と恋バナ大会が始まるわけで。決して男子には聞かせられない話もしたり。
二人の彼氏との惚気話を微笑ましく聞いていると「そういえばA、今日チャンスじゃない?」と唯は目をキラキラしてこっちを見る。
「クリスマスなんだから、御幸くんにアタックしてみたら?」
「あー……そのことなんだけど、」
「御幸フリーだしね、唯の言う通り最後のチャンスだと思うよ」
私のことを想って背中を押してくれる2人に若干の後ろめたさを感じつつも、「2人に言わなきゃいけないことがあって…」とおずおずと切り出す。
「実は私、……成宮とつきあってるの。稲実の」
沈黙の後、ワンテンポ遅れて「ええぇぇ?!」と2人の驚きの声が響いた。
幸子は調理器具を放ったらかして「なんで!?いつ、どこでどうしてそうなった!!」と私の両肩をぐらぐらと揺さぶった。
唯も困惑の目で首を傾けている。
この後詳しいことが聞きたいと事情聴取が始まり、なかなかケーキ作りを再開できなくて大変だった。
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ましゅまろーず(プロフ) - 麻奈さん» 成宮くんはなんだかんだで葉月の幸せを願ってすれ違ってしまいました…書いてるこっちも辛いです(ノ_<) (2017年12月13日 19時) (レス) id: a527da2431 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅまろーず(プロフ) - ホイップクリームさん» 自分の気持ちを誰かに伝えるって本当に難しいですよね…ホイップクリームさんに共感していただき嬉しいです!高校生編では結局葉月はどっちともくっつきませんでした、、続編でもホイップクリームさんとお話できると嬉しいです!これからもよろしくお願いします(*´-`) (2017年12月13日 19時) (レス) id: a527da2431 (このIDを非表示/違反報告)
麻奈(プロフ) - 鳴いぃぃ…(´;ω;`)そんな鳴も私は好きだよォ…(;Д;)(;Д;) (2017年12月9日 8時) (レス) id: 4a91041800 (このIDを非表示/違反報告)
ホイップクリーム(プロフ) - いつもお話していただいてすごく楽しいです! これからも仲良くしていただけたら嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2017年12月8日 22時) (レス) id: 05e300014f (このIDを非表示/違反報告)
ホイップクリーム(プロフ) - なんかもうすごいです…上手く言えなくてすみません…!! 人に想いを伝える事の難しさが表されていてとても心に響きます!ましゅまろーずさんの作品本当に皆の想いが伝わってきますね!私には出来ません…すごく尊敬しています!! (2017年12月8日 22時) (レス) id: 05e300014f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましゅまろーず | 作成日時:2017年8月12日 11時