065.今カレvs元カレ ページ20
.
成宮
.
夢みたいだ。
中学の時からずっと想い続けていた子とつきあうことになって、そして来年からはプロ入り。
毎日五分間だけの電話も、俺だけの特権。
彼氏としての特権。
たまーに物足りなくなることはそりゃあるけどさ。
やっと恋人同士になれたんだし、電話だけじゃなくて直接会って触れたいなって思う。
でも、お互いに忙しい時期だから干渉しすぎないと決めた。
明日のクリスマスでさえ、俺達は会えないんだ。正直な話、クリスマスプレゼントくらいはあげたかったなあ。
少しの不安要素があるとすれば、
クリスマスに葉月が一也と会うこと。
いや別に葉月を心配してるわけじゃなくて、警戒すべきなのは一也の方。
もしやっぱり葉月が好きだって気づいたとしたら。
クリスマスみたいに心がふわふわ浮かれてしまう日は、何をしでかすかわからない。
(…………ま、返すつもりはねーけど)
葉月の気持ちが俺に向いている限りは。
夜、自主練をしている後輩にちょっかいを出して追い払われ、ちょっと気が向いたので自販機の近くの白い壁に寄りかかり電話をかけてみた。
葉月ではなく一也に。
なんとなく、話さなきゃいけない気がした。
「…なんだよ、鳴」
機嫌の悪そうな声が鼓膜を揺らした。
「久しぶり一也」
「葉月とつきあってることなら聞いたから」
「あ、そうなの。それなら話早いや」
プププ、と勝ち誇ったように笑ってわざとらしく一也を威嚇する。こうまでしないと一也の素直な気持ちは聞けないと思ったから。
ひしひしと緊張感を背中に感じながら、澄んだ夜空に浮かぶ月を見上げる。
スマホを持つ手が微かに震えた。
______一也ってほんとに葉月のこと好きじゃなかったの?
______ああ
______即答するなよむかつく
あのとき、一也はそう言ってた。
今も変わってないで。
残酷な願いを胸に秘める。
「はっきり言うけどさあ、葉月はもう俺のものだから。余計な虫はつかないでほしいわけ」
「……」
「一也、その気がないなら葉月を振り回すようなマネしないでほしいんだけど」
言った。
一也は返事に迷ってるのか、しばらく黙った。
「…………悪い、鳴」
さっきまで澄んでいた綺麗な空には、紫色の薄い雲がかかって月が溶け込む。
「俺、もう自分の気持ち隠せねーや」
.
246人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ましゅまろーず(プロフ) - 麻奈さん» 成宮くんはなんだかんだで葉月の幸せを願ってすれ違ってしまいました…書いてるこっちも辛いです(ノ_<) (2017年12月13日 19時) (レス) id: a527da2431 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅまろーず(プロフ) - ホイップクリームさん» 自分の気持ちを誰かに伝えるって本当に難しいですよね…ホイップクリームさんに共感していただき嬉しいです!高校生編では結局葉月はどっちともくっつきませんでした、、続編でもホイップクリームさんとお話できると嬉しいです!これからもよろしくお願いします(*´-`) (2017年12月13日 19時) (レス) id: a527da2431 (このIDを非表示/違反報告)
麻奈(プロフ) - 鳴いぃぃ…(´;ω;`)そんな鳴も私は好きだよォ…(;Д;)(;Д;) (2017年12月9日 8時) (レス) id: 4a91041800 (このIDを非表示/違反報告)
ホイップクリーム(プロフ) - いつもお話していただいてすごく楽しいです! これからも仲良くしていただけたら嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2017年12月8日 22時) (レス) id: 05e300014f (このIDを非表示/違反報告)
ホイップクリーム(プロフ) - なんかもうすごいです…上手く言えなくてすみません…!! 人に想いを伝える事の難しさが表されていてとても心に響きます!ましゅまろーずさんの作品本当に皆の想いが伝わってきますね!私には出来ません…すごく尊敬しています!! (2017年12月8日 22時) (レス) id: 05e300014f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ましゅまろーず | 作成日時:2017年8月12日 11時