【◇】ばつこい II

062.好き ページ17

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御幸


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あれからずっと考えてた。





______まだ俺のこと好きなの？





葉月の口からどんな答えが欲しかった？
わかんない、と言われて少しもやもやしたのはなんでだ？


その先の答えを知ってはいけない気がする。





もはや考えることも放棄しようとしていた時だった。









「葉月、成宮とつきあってんだとよ」









石で頭をがつんと殴られたのと良い勝負の衝撃。

俺の前の席に座った倉持が「次の授業自習だってよ」と伝えるのと同じノリで言った。




「感想は？」俺の反応を伺ってるかのように倉持はじっとこっちを見る。







直感がした。

倉持は俺の悩みのその先の答えを知ってるんじゃないかって。



だから俺を試してるんじゃないのかと。





「…………別にいいんじゃね？」

「あっそ。それほんとに本心か？」

「……」

「取られたくねーんじゃねーの、葉月のこと」





ドキリとした。冷や汗が伝う。

倉持の言ったことが図星だったからだ。





「まあ自分で気づいてくれんの待ってたけどよ、葉月は成宮とつきあっちまったしもう時間がないから言うぞ」





薄々勘づいてた。

何度も何度も考えても理解できない感情なら、これまで生きてきた中で経験したことのない感情なんじゃないのかと。

でもそれを認めてしまったら。









「お前は葉月が好きなんだよ」









認めたくなかった。

好きになれなかったと突き離して別れを告げたのは俺の方だったから。



突きつけられた現実。

でも否定できない現実。


俺は…




椅子から腰を浮かせて「言いたかったのはそんだけだから」と席を離れようとする倉持を呼び止める。





「ありがとな」

「…………お前がお礼なんか言うな気持ち悪い」

「ははは、ひどいな」





鳴とつきあってるのか。









……そんなの知るかよ。









今までは葉月が好意をぶつけてきてくれた。

今度は俺の番だ。





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