第102話 ページ7
中沢「一介の浪士相手に世を作り変えると言ってくださった。それも、無礼を咎めることもなく…ならば、私はその助太刀をすることこそ信ずる道であると、貴方にお仕えすることを決めた」
茂茂「…そうか」
中沢「先のご無礼、陳謝いたします。そして、我が信念のため貴方を利用すること、お許し願いたい」
再び頭を深く下げ、静かに目を閉じた。
茂茂「其方の信念は決して間違ってなどおらぬ。その道が叶えば、また多くの民も救われるだろう」
中沢「…そのお言葉、偽らざる思いと受け止めて、また一つお話が」
昔から変わらず民を思ってくださるお方だ、と茂茂の言葉を聞いたAは踏み切った。
身分を隠しここにいる彼女の頼み、茂茂の表情も変わった。
中沢「将軍様の叔父上に当たる先代定定様に、政界からの退却を願いたい」
茂茂「………」
何故だとも聞かれずに茂茂は黙ってしまう。
そう言われる心当たりは彼にもあったんだろう。
中沢「今度こそ、私怨など交えずお伝えしたい。今捕らわれているならず者共は、定定公に傷つけられた一遊女を救わんと立ち上がった者たちなのです」
茂茂「…ほう」
中沢「その者どもを一概にならず者として処刑するとは如何なものか…定定様の城での振る舞いも、些か強硬すぎるとお見受けしますが」
先ほどまで何か話し合っていたのか、その言葉にもやはり否定することなく頭を悩ませている様子だ。
中沢「御方が降りぬ限りこの世が変わることなどないでしょう。どうか将軍様の信ずる采配を」
分かってくれと、しかと茂茂の目を見てAは訴えた。
中沢「この江戸の将軍たる執政を、茂茂様にとっていただきたい」
何もかも、このような強い言葉も、茂茂だからこそ頼みたいとAは切に願った。
作戦のためなどではない。銀時のためなどではない。
彼の言った一言を信じて突き進んだこの道、茂茂が動かす世でなければ成り立たないからだ。
茂茂「頭に入れておこう。この目で確かなものを見なければ何もできまい」
やはり冷静で懐の大きいお方だ。Aは伝わっただろう彼に深く頭を下げて、真選組として働くため離れへと向かった。
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RIO - 小説読ませてもらっています!更新待ってます!! (2022年4月15日 0時) (レス) @page11 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
無関 - まじで面白かったです!頑張って下さい!! (2021年11月18日 21時) (レス) @page8 id: dbba37e842 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紗月 | 作成日時:2021年11月11日 17時