Feeling[4] ページ4
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「ねぇ、····」
「·····。」
「ねぇ、光舟くん」
「……………名前呼びされる筋合いはないんだけど」
ペアで話し合いになっても喋らない彼に話しかけると、
彼は私が光舟くんと言ったのが気に食わなかったらしく
静かに私を睨む。
それでも私がわざわざ光舟くんなんて呼んだのには理由がある。
「セトタクに言ってたじゃん。
みんなの自己紹介のとき爆睡してたって·····。
だから上の名前知らないんだよ」
「はあ………。
奥村光州。奥村」
「奥村くんね、改めてよろしく。
それでさ、ここ分かんないんだけど····。」
「それは、ここを────。」
私が笑いかけても冷たく捉える。
それでも、ちゃんと教えてくれるから根は優しいんだろう。
彼の声と説明のためにノートに触れる指先が
私をぼーっとさせる。
「──ってこれで出来るはずだけど。
…………あんた、ちゃんと聞いてた?」
「あんたじゃないよ」
「は?」
「A。河野Aだよ。」
それとちゃんと聞いてた。と笑う私に、
彼は「あっそ」と目を背ける。
相変わらずな反応に笑いを零すと彼は少し困ってる。
表情なんかに出てないけど、何故か私はそう感じた。
「…………あ、ここ空いてる」
「…………。」
「分かんないなら教えるよ、私。」
「別に…」
「じゃあ、分かるの?」
「……………。」
「はい、じゃあ教えさせてもらうね」
彼にとって私はウザイかもしれない。
でも、それでもいいなんて····馬鹿みたいなこと思ってる。
彼と少しでも長く話したい。
なんて言うんだろうこの感情は。
「おせっかい····。」
「それでもいいよ」
君の笑う顔、声、仕草、
それら全てを知りたいだけなんだ。
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