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平野side
平「旬くっ…お、れっ……この仕事がっ…しんどい、ですっ…」
気づけばそんなことを口にしていた。
俺何を言ってるんだろう。
旬くんも、突然電話かけてきたやつからしんどいなんて言われても、困るに決まってる。
ああ、やっぱりすぐ切ればよか…小『いいんだよ、紫耀』
平「え…?」
間違い電話をしてしまったことを後悔していた時、旬くんの優しい声が耳に届いた。
小「いいんだ、しんどい時はしんどいって言って。役者ってさ、すごい不安定な仕事だと俺は思ってるんだ」
平「…不安定?」
そう、とまるで子どもに問いかけるようなおだやかな声で旬くんは続けた。
小「人に感動を与えたり、笑顔を与えたりできる仕事が役者っていう仕事だと思う、けどさ、それは上っ面のお芝居をしてたら到底無理。見ている方達はすぐわかるからね。あっこの人役に馴染んでないなとか、なりきれてないなって。それは演じてる側もそうで、やっぱり役に入れてない時ってどれだけ感動するシーンを取ってても感動できないんだよ。紫耀もそうなんじゃない?」
平「…っ…はい」
小「泣くシーンでは演技で泣くんじゃなくて自然と涙が出てきて、笑うシーンでは自然と笑っている。それが大事なんだよね。でもそれって本当に役に入れていないとなかなかできないんだ。いくら有名な俳優さんでもさ、できない人っていっぱいいるんだよね。お芝居のうまさって努力型の人と天性の才能型の人がいるんだけど、紫耀はきっと天性の才能型なんだと思うよ」
天性の才能…
そんなこと考えたことなかった。
俺にはきっと役者に向いてないんだって下を向いていたから。
小「もったいないよ。それだけ役に入れてるってことは、それだけ人を感動させる力を持ってるってこと。紫耀のお芝居にたくさんの人が涙を流すってことだよ。それって本当にすごいことだから誇りを持っていいんだよ」
平「旬…くんっ…」
心の中のモヤモヤとか、撮影を止めてしまったことへの罪悪感とか、胸の中を支配していた黒いものがサーーっと晴れていくような感覚がした。
小「いつか紫耀と共演したいな。親子役だったりしてね笑」
平「…ふふ…それはないですよ笑」
小「またいつでもうちに遊びにおいで。相談でもなんでものるから」
平「はいっ…旬くん…ありがとうございますっ…俺、、やってみますっ…」
小「おう!」
さっきまではあんなに演じることが怖かったのに、今はすごく……お芝居がやりたい。
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晴はる(プロフ) - あやねさん» あっそういうことだったんですね!そんなそんなっ、わざわざお礼なんて笑 コメントいただけるだけで嬉しいです(*^^*)ありがとうございます(^^) (2022年6月30日 0時) (レス) id: 2b7aa7cd67 (このIDを非表示/違反報告)
あやね - 晴はるさん» リクエストのお礼をしようと思ったんですけど、返信するのが遅くなってしまいました。分かりづらくてすいません。これからも楽しみにしてます。 (2022年6月30日 0時) (レス) id: f466d19626 (このIDを非表示/違反報告)
晴はる(プロフ) - あやねさん» あやねさん、何のお礼か分からないですが、こちらこそいつもお読みいただきありがとうございます(#^.^#)これからも宜しくお願いします♪ (2022年6月29日 13時) (レス) id: 5b86a9a166 (このIDを非表示/違反報告)
あやね - 晴はるさん» ありがとうございます! (2022年6月29日 1時) (レス) id: f466d19626 (このIDを非表示/違反報告)
あやね - 晴はるさん、ありがとうございます。 (2022年6月29日 0時) (レス) id: f466d19626 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:晴はる | 作成日時:2022年5月16日 23時