彼への想い〜届かないかもしれないけど〜

満月*Azumi ページ6

お風呂からあがって、自分の部屋でカレンダーを見る。

映画を見にいくのは今週の日曜日。今日は水曜日。

その日に着る服も、髪形も決まっている。

日曜日の事を考えるだけで心拍数が跳ね上がる。

静かな夜空に響きそうな程に。



河上先輩に一目ぼれした、あの日のことはまだ覚えてる。

部活見学で女子バスケの活動を見てた時、男子バスケ部の活動も見えた。

その時は名前も知らなかったけど、素敵な人だなと思った。

すらっと伸びた小麦色の手足、鼻筋が通っていて輪郭もほっそりしていた。

汗を流してきびきびと動く姿に一目ぼれ。

あれから一年くらいたった。

だんだんと距離も近づいて、それが他のどんなことより嬉しかった。

日曜日、ちゃんと話せるかな。ドジったりしないかな。

楽しみだけど、不安も多い。

気持ちを落ち着かせたくて窓を開けた。

ひんやりとした夜の空気が気持ちいい。

空を見上げると綺麗な満月が私達を見下ろしていた。

河上先輩と結ばれますように。

両手を握りしめ、目を閉じて満月に向かって祈った。

満月には不思議な力がある、そんな気がしたから。

実際はただの衛星でしかない。子供じみたことだってわかってる。

そんなことにでも、すがってみたいんだ。

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