観戦少女 Another Story (ページ1)

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合宿 ① ページ1

「んん～？何これ…分かんない」

私は頭を抱えていた。
ご飯を作るために来た合宿、私は部員達と違って時間があるから宿題をなるべく進めるようにしている。
でもそのワークの最後の問題が解けなくて悶々としていた。
X,Y,Z全ての値を求めないと解けない問題で、Xは解けたけどY,Zが解き方が分からない。
教科書は重いから持ってきたのはワークだけだし、解き方がわからない。

ご飯食べ終わった後に誰かに聞いてみようかな…

誰に教えてもらえばいいんだろうか。
リコ先輩は頭がいいって聞いたけど、合宿の夜はいつもメニュー考えたりしてるから邪魔したくない。

こうなりゃ数打ちゃ当たる作戦でいこう！

私は数学のワークを閉じて夜ご飯の準備に取り掛かった。

「今日も美味かった～」

いつものように誠凛、秀徳でご飯を食べる。
食べ終わった後はテーブルごとに食器をまとめて誰かが持っていくようになった。

洗い物も秀徳の人達が「やることが少ないからやらせろ」と言ってやってくれている。

ちなみに渋ったら宮地さんがパイナップルを持っていて脅されたのでおとなしくお願いすることにした。

私は部屋に戻ろうとしている1年ズに声をかけた。

『ちょっといい？』

「「「？？？」」」

片付け終わったテーブルにワークを広げてみんなに聞いた。

『誰かこの問題わかる人いる？』

「なんだこれ」
「分かりません」
「数字見ただけで頭痛が…」
「こんなの習ったか…？」
「分かんねぇ」

大我、テツヤ、降旗くん、福田くん、河原くん、全員全滅だった。

もちろん大我には最初から期待はしていなかったけど…。

「つーかAちゃん空き時間宿題やってんの！？」

『うん』

「なになに？夏休みの宿題？」

洗い物を終わった和くんがひょこっと顔を覗かせる。

「そういえば秀徳って偏差値高かったよな…」

皆は和くんの方を向き、期待の眼差しで見つめた。

和くんはしばらくワークを見つめ、う～んと唸った。

「これって〇〇の公式使えばいけんじゃねぇか？」

『！やってみる！』

私は和くんに言われた公式に当てはめながら問題を解いていく。

『Y＝4！これだ！』

「でも俺もZはわっかんねぇ。英語なら得意なんだけど数学はそんな得意じゃねーからなぁ…あっ！」

何かを思いついた和くんは走って食堂を出ていった。