その50 ページ1
銀時らしい物言いに笑みを浮かべ、Aは異三郎の指示に従うべく前線へ出た。少しでも異三郎の負担を軽減するため、銃2丁を構えた。接近戦を仕掛ける敵に対し、素早く間合いを取り、返り血を拭う暇無く、戦い続けた。
ふと、目をやると、視界の隅で膝をつく異三郎がいた。迫りくる敵を見もせず撃ち殺し、異三郎の元へ向かって走り出した。
「…!見廻組隊士に告ぐ!二番隊、三番隊その他全員は引き続き坂田さん達の援護へ!一番隊は局長を守れ!!」
「「「はい!!!」」」
隊士達の返事を聞き流しつつ、Aはうずくまる異三郎を庇うように前に立ち、向かい来る敵を素早く撃ち殺した。
「…何、勝手に指示を変えているのですか…っ!…」
「黙っていてください。佐々木さんにも血清を打ち込んではいますがそれも長くは続きません。怪我人は大人しくしていてください」
言葉を繋ごうとするも、間髪入れずピシャリと突っぱねられた。ジクジクと痛む傷に手を添え、不服だと言わんばかりにAを見上げた。ここからAの顔を伺うことはできない。
「…心配しすぎですよ、Aさん。ッこれくらい大したことありません…」
身体はとうに限界を迎えているが、ここで食い下がる訳にはいかず、強がった言葉を吐いた。Aはその言葉にピクリと反応し振り向いた。そこにはいつものような明るい表情は無く、まるで氷のように冷え切った瞳が異三郎を見下ろしていた。
「前にも言いましたよね?怪我人は大人しく
怒気を含んだ静かな声色に、異三郎は薄く目を見開いた。
「…!やはり…変わりましたねAさん…昔はもっと可愛げがあったのに…ッ…!」
「何とでも言ってください。貴方が何と言おうと僕には貴方を守る使命があるんです。それに、こんなところでくたばってる場合では無いんじゃないですか」
その間も淡々と敵を撃ち殺しつつ、異三郎に諭すように問いかけた。異三郎は暫し黙り込み、ふっと静かに笑みを浮かべゆっくりと立ち上がった。
「……そうでしたね。さっさと終わらせて参りましょうか」
「はい!」
次の瞬間パッと表情を変え、いつもの屈託の無い笑顔を向け、銃を懐へ収めた。異三郎が周りを見渡すと、もうそこは辺り一面血まみれでつい先程まで襲いかかってきた敵が息も無く無様にあちこちに転がっていた。
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mare 1309 - ニヤニヤさせて頂きました!夢主君の過去もう少し見てみたいです次の更新楽しみに待っております (2022年3月13日 0時) (レス) id: e8fb5cc6c7 (このIDを非表示/違反報告)
長月(プロフ) - もう更新はされないのでしょうか…? (2021年4月8日 7時) (レス) id: 0959529428 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Rin' | 作者ホームページ:http://uranai.amanoboru
作成日時:2020年12月23日 22時