望月の欠片【あんスタ】 (ページ31)

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忍の欠片　1/1 ページ31

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今日も廊下に不自然な形が浮き出ている。
まるで上から白い布を被せたような、誰かが隠れているような。
近づいて無慈悲にペラっとめくれば、やはり忍くんが隠れていたようで。

「むっ、見破られたでござる！」

「うん忍くん、次やったら蓮見先輩に不審者として出すからね」

最後の方の私の言葉を聞かずに走り出す忍くん。
そう言えば、ペラっとめくった布は私がつまんだまんま。
忍くんの背中はもう見えず、周りには誰もいない。

ぼーっと突ったっていても怪しいし、やっぱり本人に返したほうがいいのかも。
でもまたやったら、今度こそ突き出すと言っている訳だし……。
渡すなんて、またやってねと言っているのとあまり変わらない。

「うん、渡すべきじゃない」

私は一人頷き、布を丁寧に折りたたんで近くの教室にお邪魔する。
すると、やはりいた。

「り～つくん」

私の呼びかけなど聞こえないほど熟睡している眠り魔凛月くん。
そっと額を撫でて、先程折りたたんだ布をバサっとかけてあげる。
「ん……ふふ」とか寝言を言っていたけど聞いていないことにする。

落ち着いたところで、忍くんを捕まえて「不審者扱いするよ」と忠告するべきか考える。
どうせ双子のところだろうし、案外簡単に見つかる気がするのだ。

「……実は、後ろにいたりしてね？」

＿＿誰も、本当にいるとは思わないよね。

＊4月6日更新＊