四つ葉のクローバーは知っている

＊ ページ46

私のその一言で空気が一瞬にして引き締まる。



「...まじで？」


そう言う上杉君の声からはたくさんの感情が読めて何を一番思っているのか分らなかった。




安堵。

不安。

悲しみ。



でもその表情はいつもとかわらなかった。




逆に翼はなんだか落ち着きがない。

その証拠に翼はずっと私が出した紅茶のマグカップをいじっている。



早く結論を...



2人ともからそういう気持ちがとても伝わった。




でも。


はっきり言うとこの場で一番大変なのは私だ。



だって考えても見てよ。


いままで一番最初の彼氏だと思ってた人が実は違くて。

「大好き」って感情を抱いている人がまあ事実二人いたってことだよ？



こんなの...


頭がくらくらする。





何が正しいんだか分かんないし！

どうすればいいか誰も教えてくれないし！


ああああ！

もう。



わかんない...




気づけば涙が出そうにるのと同時にくらっと頭が揺れて、視界がゆがむ。






たぶん精神的負担が多かったせいだと思う。





もうダメ...




そう思った矢先。




「彩っ！」






和典が抱きとめてくれた。

翼よりも先に。



自分なんか全く気にせず足を凄い角度に曲げながら。



「大丈夫か！おい、返事しろ！」


「だ...大丈夫...じゃないけど、なんとか...？」


和典はしゃべれるならまだ安心というように胸をなでおろすと、私をひょいっと持ち上げようとした...けどその瞬間しゃがみこんだ。





「った！！」




だ、大丈夫！？

見れば足の関節を抑え座り込んでいる和典。




きっとさっき私を椅子からおちないように抱きかかえようとしてひねったんだろう。



「上杉！」

翼の声が聞こえる。



「アーヤは俺がやるからお前は...」



「違う。」


そう言う和典の声は威厳とプライドが感じられて。



「俺が。

現彼氏である俺が彩を運ぶ。


それだけはゆずれねー。」



そしてうめき声をあげながらも私をソファーへ連れて行きゆっくりとやさしくその上に降ろした。




「ねぇ和典！なんでそんな無茶...」


「無茶なんかじゃない。」


私がえっ？というように聞き返すと和典は私の目をまっすぐ見てこう言った。



「俺は彩が大好きだ。いや、愛してる。
だから命に掛けてでもお前を守りたい。

本当にお前が大事なんだ。

だから...だから考えたくはねーけどもしおまえが美門選んだ場合、これが彩を守る最後の機会だろ？


それだったら怪我ぐれーどーってことねーよ。」

＊→←意思

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す