四つ葉のクローバーは知っている

＊ ページ38

ばんっという鈍い音と共に。



俺はベッドから飛び起きた。


何も着ていないのにこれ以上ねーぐれーの汗。

息もいつも以上に上がってて。




夢...？



周りを見渡せばいつもの暗いベッドルーム。





あれは夢だ。

そう確信した。




けど同時に。




思い出した。

あれは過去でもあると。



嫌で嫌で忘れていた過去。

ないことにしていていた過去。





それを今、はっきりと思いだしてしまったのだった。




っくそ...

のどが気持ち悪く熱くなる感覚を覚えて思わずせき込む。



水、飲もう。


そう思い、ペットボトルを求めてあたりを見渡して。




気づいた。






彩がいない。






一緒に寝ていたはずの隣はがらんと開いていた。

とたんに心臓が早鐘を打ち始める。







もしかして...あれか？


いや、そんなことはない。

ほぼ不可能だってあいつも言ってただろ。





そんな自問自答を繰り返す。


でも。




今そんなに焦っても仕方がない。


そう思い、とりあえず彩を探すことにした。



電気をつけて、とりあえず着るものを探そうと思った矢先。






「ん...」


彩の声が聞こえた。




「彩！」


そう叫びそうになり思わず踏みとどまる。


おい、時間を考えろ。

今夜中だぞ？



心を落ち着かせ、ベッド回りを点検すると。







いた。




ベッドの横ですやすやお丸くなって寝ている彩。

あどけない表情は本当にいつ見てもかわいい。



きっとあのばんっと言う音も彩が落っこちた時のものだろう。



ふっとほほ笑みを漏らすと彩の横に座り込む。





とりあえず見つかってよかった。

そう思うと同時に。




なんで「こんな夜遅くに出て行くはずねーな」とか思えなかったんだろう、と不思議になる。



きっと焦ってたんだろうな、夢で。


あんなの思い出したくなかったし。




ふう、とため息をつくとぼんやりと天井を見上げる。




...寝るか。




そう思いベッドに行く。




いやでも。

あいつどーすんだ？



...床に1人で寝かせとくってのもな。





もう一度彩の方へ行き、じっと彩を見つめる。

俺筋力ねーからきっともちあげらんねーだろうし...




わかった。

俺はブランケットをベッドから引きづり出すと彩の上にかけ、自分も横たわった。




風邪でも引かれたら困るしな。




「おやすみ、天使さん。」

そう言うと頬にそっとキスをし、また俺は夢の世界へと戻って行った。





この後大変な事態が起きるともしらずに。

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