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「で、で?彼女ー?」
そうニヤニヤ聞いてくる蒼。
若干「あの和典に彼女!これはいじるネタが増えたぞ」という感じが漂ってるけど俺は何も言わないことにした。
「ねえー!」
うわ、しつけー。
まじでイライラする。
「お前には関係ねーだろ。」
そう冷たく言っても蒼は懲りない。
「いっつもかずちゃんは冷たいんだから―」
いじけたようにそうつけ足すと隣からぷっと笑い声が聞こえた。
「っぷ、あはは!!」
こらえきれないようにわらいだす彩。
「へ!?」
蒼が困ったように俺の方を見る。
いや、俺の方みられても分かんないから。
そう伝えるため肩をすくめる。
そんなやりとりの間も彩はずっと笑っていた。
「えーっと、彩...ちゃん?」
蒼が遠慮しがちに声をかける。
っていつのまにこいつ彩の名前知ってんだよ。
なんか...
嫌だ。
俺が何年も何年も呼べなくて、ある事故がきっかけでやっと呼べたのに。
もやもやしたやるせない気持ちが胸を渦巻く中、最初の疑問は蒼が口にした言葉によって解決した。
「さっき和典が名前読んでるの聞いただけだからあってないかもしれないけど」
こいつ、女に関してはなにかと手際いいんだよな...
計算俺より全然遅い癖に。
うらやましいような、勝ったような気分になる。
そんなことを思っていると彩はいつのまにか笑うのをやめゆっくりと口を開いた。
「え、いや、彩であってますけど...って!」
彩は何かを思い出したようにきちんと座り直すと深々と頭を下げこう言った。
「かず...上杉君とお付き合いさせていただいてます、立花彩です。よろしくおねがいします。」
急な改まった口調に俺も蒼もびっくりする。
「あ、うん?えっと...」
そう蒼が口を開くと彩は蒼に向かってこう言った。
「あの、上杉君と親しいんですよね?」
「...俺はそう思ってるけど。」
「俺は思ってないから。」
俺たちの声が一斉に重なりまた彩が笑いだしそうになる。
でもなぜかとまると咳払いをし、にっこり笑ってこう言った。
「私、きちんと和典が私を彼女として誇れる人になりたくて。きちんと挨拶しようと思ったのに...」
というと彩は残念そうに首を振ってほんとにわたし笑い上戸なのかも、と一人で呟いた。
「なにがおもしろかったんだ?」
我慢なれずにそういう。
「だってかずちゃんって...ホントの兄弟みたいで和典の生活を垣間見れた気がしたし」
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M(プロフ) - このお話大好きです! ほんとに何回も読んでるんです🫰🏻💗 素晴らしい作品を作って頂きありがとうございます!! (2022年11月27日 1時) (レス) @page50 id: 774f7e13f3 (このIDを非表示/違反報告)
riorio21 - 奏さんの作品面白いし、感動するし、楽しみにしてます‼︎これからも頑張ってください‼︎ (2022年6月12日 12時) (レス) @page50 id: 58b56bfa9f (このIDを非表示/違反報告)
心結 - 本当に本当にとっても面白かったです‼奏さんの作品、私大好きです‼これからも頑張ってください‼ (2022年3月22日 20時) (レス) @page49 id: 8499dda6bc (このIDを非表示/違反報告)
上杉奏(プロフ) - 翠雨さん» ありがとうございます!応援取っても励みになります!他の作品も頑張りますー! (2018年8月23日 16時) (レス) id: ee0f7784b7 (このIDを非表示/違反報告)
翠雨 - とても面白かったです!これからも頑張ってください(*^^*) (2018年8月22日 18時) (レス) id: aab040c059 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:上杉奏 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aishou_kz
作成日時:2018年4月23日 17時