四つ葉のクローバーは知っている

＊ ページ17

俺が指さしたのは机の上に彩が置いてくれた予備のカギ。

「え？」


一瞬わけがわからないという顔をする彩。


「だ、だってそれ和典のカギだよ？もらっちゃダメでしょ。」




...は？


いやいや、そこはそーゆー反応じゃねーだろ。

こいつほんと鈍感過ぎ。

俺が言いたいこと察せねーのかな。




「だから...」

ため息をつきながらそういうと大きく息を吸い、吐き出すと同時にこう言った。




「俺とここで一緒に住んでほしーっつってんだよ...できれば結婚前提で」



今思えば自分の感情を言うのが大っきらいな俺にとっては結構頑張ったほうだと思う...たぶん。






「へ？」


目を大きく見開き驚きの表情を見せる彩。


だんだん理解して来たのか顔が赤くなっていく。




「えええ！」


彩はもう一度そう叫ぶと手で顔を隠した。




「...絶対今顔赤いでしょ。」

「うん、めっちゃ赤いぞ」

「か、和典が急にそういうこというからだよっ」

「いや、俺だってめっちゃはずかったし」

「じゃなんでそんなに冷静なの！？」

「...彼女の前ではかっこいいとこしかみせたくねーの」

「...もう！」



そういうと彩は急に俺に抱きついてきた。

シャンプーの甘い香りがただよう。



うわ！

今度は俺が熱くなる番だった。



「っちょ、彩！」

「ねぇ和典」


俺があわてているにもかかわらず、彩は抱きついたままこう聞いてきた。



「私のこと好き？」


「...なんだよ急に」


「聞いてるの！」


「....」


「かーずーのーり？」


これ、言うしかねえやつ..？


「はい、５、４、３...」


「...好きだよっ！好きに決まってるだろ！当たり前のこと言わせんな！」



なにをやってるんだ俺は...


まじではずい。




「私も大好きだよ、和典。」

早耳元でそっとささやかれて今度は耳も赤くなった。



「だから...」


やっと彩は俺から離れると、きちんとした正座になり、こう口を開いた。



「ふつつか者ですが、よろしくおねがいします。」

やった！
胸がうれしさでいっぱいになる。



でも...そういった彩はなぜか涙ぐんでいた。


「え？なんでないてんの？」

「だってこれほぼプロポーズじゃん...うれしくないわけないでしょ！」

「ば、バカ、プロポーズじゃねえって！」

「え？」

「プロポーズはもっとちゃんとしてーから...」




「やっぱ大好き和典」

「え？」

「なんでもない」







こういって七夕の日に織姫と彦星は幸せに暮らすことになりました。

夢→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す