第10話 ページ11
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夜にも関わらず街は賑やかだ。どこにいても美味しそうな匂いがしてくる。
エレン……くん…と私は並んで歩きながら「美味しそう」とつぶやく。そんな時、ふいにエレン…くんは私の顔を覗き込んでは困ったように笑う
どうやら少し不機嫌な表情をしてしまっていたようだ。私としたことがっ…
「本当は優しい人なんだぜ、リヴァイ店長」
「…信じがたいですね」
「だろ?俺も最初やばいとこに就職しちゃったなって後悔した」
「今は、後悔してないんですか?」
「あぁ、だって初めて店長に笑顔で褒められた時はすっげぇ嬉しかったし」
「……笑いながら…褒める…」
目を閉じ、リヴァイ店長さんのそんな姿を思い浮かべる。なるほど…悪くないかも…。私の心の奥では更に「私に笑え!リヴァイ店長!」という気持ちが強くなる
けど、絶対に断られるのは実践しなくても分かり切ったこと。でも見たい、してほしい。うーん…
「あ、オーナーも優しい人なんだぜ!」
「オーナーさんですか」
「いつもニコニコしてて、たまにしか顔を出さないけど来たときは、従業員にもお客さんにもとにかく褒めまくる人」
「この世の部類では変人に入る人ですね」
「あっはは♪そうかも(笑)」
そう無邪気に隣で笑うエレン‥‥くんに思わず見惚れてしまう。私もそんな風に一緒に笑いたいななんて乙女チックなこと思って‥‥
私も同じように笑ってみた。すると、気づいたエレン‥‥くんが更にニカっと笑い直す
「A」
「っ‥‥はい」
「俺の名前は?」
「え?」
「いいから言ってみろって」
「エレンくん‥‥あ」
いつもの心の中でどうしても呼び捨てで呼べずにいたせいか、くんとつけてしまった
エレンくんはムッと口をへの字にしては
「やっぱりなー」
「いや‥‥はい、すみません」
「まぁ、いいけどさ。俺も気安く呼び過ぎたよな。悪い」
「いえ!決してそんなことはっ」
「じゃあ、俺の名前は?」
「‥‥‥エレン‥‥」
「よし♪」
この人はいろんな意味でズルい。
笑顔も仕草も言葉もなにもかもズルい人だ。
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サクヤ - 兵長スマイルみたい (2017年2月3日 19時) (レス) id: 18ba645ccb (このIDを非表示/違反報告)
SS - 何回読んでも最高だ (2016年1月9日 2時) (レス) id: 0b4dc6d3ed (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - リヴァイ店長、スマイル下さい私にも!!(←)とても面白くて最後は泣きそうになりました!これからはてな様の他作品も読ませていただきます! (2016年1月7日 16時) (レス) id: 958aa37ba1 (このIDを非表示/違反報告)
はてな(プロフ) - 千乃さん» そんなそんなっ…凄く嬉しいです!そんな事言って頂けて感極まりました…!お気に入り登録も本当に有難いです。新作作ったので良かったら…コメントありがとうございました! (2015年11月30日 5時) (レス) id: 8abb1e480e (このIDを非表示/違反報告)
はてな(プロフ) - 遙真さん» 観覧、コメントまでありがとうございます!感動して頂けて嬉しいです。ありがとうございます! (2015年11月30日 5時) (レス) id: 8abb1e480e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はてな | 作成日時:2015年4月14日 20時