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当然だけど彼より先に屋上に着いた。
日陰のところにぺたんと座る。走って来たせいで乱れた呼吸を整える。
会ったらちゃんと笑って、改めてデビューおめでとうって言おう。私は慧くんのこと応援してるよってちゃんと伝えよう。
何度も何度も自分に言い聞かせる。
でも、その先は?
少し考えたら怖くなって、やめる。
.
.
慧「あ、いた、」
ぎぃ、とドアが開いて、だいすきな声と、いつものリズムの足音が聞こえた。
A「慧くん、」
ぱ、と顔を上げたら慧くんの髪が伸びていた。あぁ、だって久しぶりだもんなぁ、会ってなかったんだもんって実感して、泣きたくなる。
慧「今日ね、もしかしたら時間空くかもしれなかったから、念のため制服着てきたの。大正解〜」
言いながら慧くんは、私の隣に座った。
A「そうだったんだ、よかったね」
慧「そ、時間空いてラッキーだったよ。午前の授業、英語あったっけ?」
A「ないない。数学はあったけど、」
慧「っしゃ、数学の課題なら余裕」
A「ふふ、」
ふと沈黙が訪れる。
あぁ、何か喋らなきゃ。いつもみたいに何か喋らなきゃ。
頭の中でぐるぐる考えれば考えるほど、言葉が出てこない。
慧「A、」
慧くんが私の顔を覗き込んだ。目が合って、笑おう、と思ったのにうまく笑えない。
そんな私を見て慧くんは、ほんの少し悲しそうな顔をした。
慧「……A、おいで、」
迷わず胸に飛び込んだ。
久しぶりの慧くんのにおい。胸に顔を埋めたままで、小さく呟いた。
A「慧くん、デビュー、おめでとう」
予定とかなり違う、涙声のおめでとう。
慧くんはそんな私の涙の理由も聞かないで、
抱きしめる力を少しだけ強めた。
慧「ありがとう……A、……ごめんね、」
途端に慧くんが謝るから、胸にずきんと嫌な痛みがはしる。
どうして謝るの?
不安でずきずきと鳴り出す胸。怖くて彼の顔を見られずに、胸に顔を埋めたままで固まった。
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まな - お久しぶりです!良かったです!!そうなんですか!?フォローします! (2016年12月23日 21時) (レス) id: e22c665bf1 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃみ(プロフ) - まなさん» まなちゃんお久しぶりです!すきなシーンたくさん教えてくれたの励みになってるよ(^^)そうそう、Twitterの方で専用のアカウントも作ったので、よろしければそちらもどうぞ〜(*^^*) (2016年12月20日 22時) (レス) id: eeda79203d (このIDを非表示/違反報告)
ちゃみ(プロフ) - マコさん» マコさんコメントありがとうございます!そう言ってもらえて嬉しいです( ; ; )!主人公ちゃん、わたしも幸せになってほしいと思ってます!笑 続きも頑張ります(^^)これからも宜しくお願いします☆ (2016年12月20日 22時) (レス) id: eeda79203d (このIDを非表示/違反報告)
まな - いつも返信嬉しいです!(≧▽≦)これからどうなるんだろうってすごくドキドキしてます!!笑もちろん!見守ります!いえいえ!好きなシーンありすぎましたね笑 (2016年12月12日 0時) (レス) id: e22c665bf1 (このIDを非表示/違反報告)
マコ(プロフ) - コメント失礼します!一番すきな作品です。本当に切ないんだけど甘くて、主人公ちゃんには幸せになってほしいなと思って見させていただいてます!これからも更新楽しみにしています! (2016年12月11日 15時) (レス) id: 8d15300b5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2016年11月26日 23時