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A「おーい大ちゃん」
しん、とした朝の教室に、私の声がやけに響いた。
いよいよ今日だと思ったら早く目が覚めてしまって、いつもよりずっと早い時間にやってきた学校。
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『いよいよ今日だね!
がんばってね♡
慧くんだけ見てるね』
.
.
朝に送信したメールにはさっき、「がんばる!」と一言だけ、彼らしい短い返信が届いていた。
私の声に気付いた大ちゃんが、水面までぷかりと浮かんで口をぱくぱくと動かしている。
A「わかったわかった、今あげるからちょっと待ってて」
ぱらりと餌をまいた瞬間に、ぱくぱくとあっという間に食べ終わってしまった大ちゃんが、もう一度水面に上がってくる。
A「だめ、食べ過ぎになっちゃうでしょ」
いつかの彼みたいにそっと手を伸ばして大ちゃんの頭にこつんと触れてみた。
途端に水槽に向かう猫背を思い出す。
A「ぱくぱくしてもだめだよ、もうほんと、いつも慧くん餌あげすぎなんだから…」
彼の名前を口にした瞬間に、なぜだか胸がきゅっと苦しくなって思わずため息が出た。
A「……大ちゃん、いよいよ今日なんだ、」
うっかり泣きそうな声が出てしまって、そんな自分に少し驚く。
水槽の中から、大ちゃんが澄んだ目でこちらをじっと見ている。
A「慧くん、デビューするんだって。遠いところに行っちゃうなぁ…」
ついに今日は、慧くんたちのグループが初めて出演する歌番組が放送される日だった。
慧くんの夢が叶う嬉しい日だから楽しみにしなくちゃ、と思っていたのに、大ちゃんの前にいたら素直になって、思わず本音が出てしまった。
そんな私の様子を見ていた大ちゃんは、急に水槽の中をぐるぐると泳ぎ回って水面を跳ねた。ちゃぷ、としぶきが上がる。
A「大ちゃんはいいね、いつも元気だね」
思わずくすりと笑った拍子、目の端っこから溜めていた雫がぽろりと溢れて、慌てて手のひらで拭う。
「Aおはよう〜!」
A「あ、おはよ〜、」
気が付いたら少しずつ皆が登校してくる時間に差し掛かっていて、何事もなかったように笑顔を作って振り向いた。
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まな - お久しぶりです!良かったです!!そうなんですか!?フォローします! (2016年12月23日 21時) (レス) id: e22c665bf1 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃみ(プロフ) - まなさん» まなちゃんお久しぶりです!すきなシーンたくさん教えてくれたの励みになってるよ(^^)そうそう、Twitterの方で専用のアカウントも作ったので、よろしければそちらもどうぞ〜(*^^*) (2016年12月20日 22時) (レス) id: eeda79203d (このIDを非表示/違反報告)
ちゃみ(プロフ) - マコさん» マコさんコメントありがとうございます!そう言ってもらえて嬉しいです( ; ; )!主人公ちゃん、わたしも幸せになってほしいと思ってます!笑 続きも頑張ります(^^)これからも宜しくお願いします☆ (2016年12月20日 22時) (レス) id: eeda79203d (このIDを非表示/違反報告)
まな - いつも返信嬉しいです!(≧▽≦)これからどうなるんだろうってすごくドキドキしてます!!笑もちろん!見守ります!いえいえ!好きなシーンありすぎましたね笑 (2016年12月12日 0時) (レス) id: e22c665bf1 (このIDを非表示/違反報告)
マコ(プロフ) - コメント失礼します!一番すきな作品です。本当に切ないんだけど甘くて、主人公ちゃんには幸せになってほしいなと思って見させていただいてます!これからも更新楽しみにしています! (2016年12月11日 15時) (レス) id: 8d15300b5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2016年11月26日 23時