#29 ページ30
A「慧くんってさ、モテるでしょ？」
慧「ほぇ、俺ぇ？どーだろ。ありがたいことに言い寄られることは確かにある」
A「認めたな。彼女とは何きっかけでお付き合いが始まったの？」
慧「なんだっけ…あぁ、あの子まだ学生でさ。うちの会社にインターンに来たんだよ。それで最終日に告られた。給湯室で」
A「わぁ、積極的…最近の若い子ってすごいな…」
慧「何言ってんの。Aちゃんだって最近の若い子よ？俺から見たら」
A「う…！いいの、私の話は。で？慧くんも、彼女のことをいいなぁと思っていてお付き合いが始まったと？」
慧「いいなぁと思っていて…？うーん…まぁ別に嫌いじゃなかったし、可愛いしいいかなって思ったかな。ちょうど彼女もいなかったし。好きって言われるのは単純に嬉しいし」
A「…ん？」
慧「ん？」
なんだか今の発言に激しく違和感。飲みかけのワイングラスを傾けて、彼の言葉をゆっくり咀嚼する。
A「…慧くんってさ、自分から告白したことある？」
慧「自分から？」
A「そう！好きで好きで堪らなくて、言わずにはいられない！みたいな」
慧「酔ってる？」
A「酔ってない」
嘘。本当はちょっと酔っている。そっかと小さく笑った後で、彼はうーん…としばらく遠い目をしていた。
慧「ないかも」
A「やっぱりかぁ！」
慧「え、なになに？」
A「いや、やっぱモテの次元が違うんだなぁと…」
慧「ふは、なにそれ」
くす、と小さく笑って、だけどその目がほんの僅かに寂しそうに揺れた気がした。
慧「…いつも最後に言われちゃうんだよね、『何考えてるか分かんない』って」
A「ん…？」
慧「好きだって言われて、特定の相手がいたらさすがにそこはわきまえるけどさ。そういうわけでもなくて、相手のことを別に嫌いじゃないし、普通に可愛いなぁって思えたらさ、付き合ったらもっと楽しいかなって思うんだよ、いつも。最初の頃は」
やっぱり慧くんも酔っているのかもしれないな。頬杖をついて俯いた角度のまんまで、彼は饒舌にぽそぽそと喋り続けた。
慧「でもいつも最後の方は同じようなこと言われて振られちゃうんだよね。俺に何か問題があるんだろうな。だから全然長く続かないの」
あ、この子本当に傷付いてるんだな、とその時やっと気が付いた。好奇心に任せていろいろと聞いてしまったな。胸の辺りがちくりと痛む。
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ゐ(プロフ) - スロモからあっという間に時が経ちましたが、今年もちゃみさんの大ファンです！ビタシュガ続きの展開も楽しみにしています！ (2022年1月3日 0時) (
レス) @page47 id: e880b33f36 (このIDを非表示/違反報告)
青空(プロフ) - やっと、慧くんがいい感じですね。 (2022年1月1日 20時) (レス) @page47 id: a1f6031022 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゃみ
| 作成日時：2021年5月1日 15時
