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慧「正直、分かんないんだよね。好きで好きで堪らないとかそういう感情が。失いそうになってあんなに取り乱すほど人を好きになったことないし」
A「でもさ、取り乱す人ほど好きの度合いが大きいのか?っていうと、別にそういうわけではないと思うけどなぁ。
っていうか、なんかごめんね、別れたばっかりなのにいろいろ聞いちゃった」
慧「いいの。話したい気分だから聞いて」
A「おお、それなら」
慧「俺と父ちゃんってね、実の親子じゃないんだ」
A「ほぇ?」
話の流れが思わぬ方向にいったので、なんとも間抜けな声が出た。何その声、と慧くんが吹き出した。
慧「俺は本当は、父ちゃんのねーちゃんの子なの。その人は俺に似てめちゃくちゃに美人だったそうなのだけど」
A「そこは自分で言うんだな」
慧「そこには感謝してるからね」
A「続けて」
慧「ふは、うん。で、その父ちゃんのねーちゃんって人は、美人だけど男にはだらしない人だったみたいで、いつのまにか妊娠してていつのまにか俺を産んで、ある日俺を置いて忽然と家を出て行ったらしい。」
A「ほう…」
慧「で、当時正義感と若さのかたまりだった父ちゃんが、親族一同の反対を全無視して俺を引き取ったって話。赤ん坊だから何も覚えてないけどね」
A「…そうだったんだ。でも慧くん、松兄さんと良く似てるよ?あ、あんま顔は似てないけど、雰囲気とか空気感とか?」
慧「ふは、それはよく言われる。まぁ血が完全に繋がってないわけじゃないしね。俺にはかーちゃんはいなくて、父ちゃんだけが唯一の家族。それが当たり前で、寂しいとか思ったこともない。でも、いい加減な産まれ方をしてるからどこかに欠陥でもあるんじゃないかな。だから人を好きになるとかもよく分かんない」
えぇ?何でそうなるの。
と、そこまで聞いて、堪らなくモヤモヤしてきた。
A「それは違う…」
慧「ん?」
そのモヤモヤは、瞬時に私の中で言葉になって、
自分でも驚くほどの速さで爆発的に溢れ出した。
A「違うでしょそれは!全然違うよ!」
慧「ほぇ」
テーブルに手を置いたら意外と強かったみたいで、ガターンと派手めな音がした。既に空になっていたワインボトルがそれに合わせてぐらりと揺れる。
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ゐ(プロフ) - スロモからあっという間に時が経ちましたが、今年もちゃみさんの大ファンです!ビタシュガ続きの展開も楽しみにしています! (2022年1月3日 0時) (レス) @page47 id: e880b33f36 (このIDを非表示/違反報告)
青空(プロフ) - やっと、慧くんがいい感じですね。 (2022年1月1日 20時) (レス) @page47 id: a1f6031022 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2021年5月1日 15時