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A「ふぇっっくしゅん」
花枝「あぁ!ごめんねぇ風邪ひいちゃった?」
A「だいじょうぶでず」
何が起きたのかさっぱり分からなかったのだが、どうやら盛大に雨漏りしているところの真下にいてしまったらしい。部屋も荷物もありとあらゆるものがびしょびしょになってしまった。
かろうじて濡れてなかった服に着替えて、花枝さんが貸してくれたタオルにくるまって一階に降りてきた。
さっきまで盛り上がっていたお客さん達は、皆部屋に引き上げてしまったようで静かだった。
花枝さんが淹れてくれたあったかいルイボスティーがじわじわと心と体にしみこんでいく。
慧「ちょっと厳しいなぁ」
さっきの男の子が険しい顔をして階段を降りてきた。どう見ても大学生だと思っていたら、近所のリフォーム店の人らしい。
花枝「やっぱりだめ?」
慧「応急処置はしてきたけど、一回ちゃんと改修工事した方が良いと思うよ」
花枝「やっぱりそうか…古いもんなぁ…建て替えちゃおうかな」
慧「やーそれはもったいないよ!俺ここの雰囲気すごい好きだよ。なんとかなるよ、頑張る」
で、私の部屋はどうなります?
とも言えず、黙ってルイボスティーをすする。
花枝さんが困った顔をしてちらっとこちらを見て、すぐにまた男の子の方に視線を戻した。
花枝「とりあえずあの部屋、しばらく使えないよね?」
慧「そうだねぇ」
花枝「ドミトリーもしばらく満室だし、ベットに空きがないや…」
なんだか嫌な予感がする。
そんな!
せっかく辿り着いた私の部屋なのに?
花枝「参ったなぁ…うち狭くて、子ども達もうるさいからちょっと厳しいんだ…!」
A「いやいや、仕方ないですよ。今夜は駅前のビジネスホテルにでも行きますから」
心で泣いているけど笑顔くらいは全然作れる。全然平気。精一杯ビジネススマイルをしてみたけど、本当は虚しさで胸がいっぱい。
ゼロからスタートを切りたくて、やっとの思いでここに来たのになぁ。私の新しい居場所はここじゃなかったのかなぁ。
もはやここで働くことも厳しいのかなと諦めかけていたら、「あ」ってその男の子が何かに気が付いた。
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ゐ(プロフ) - スロモからあっという間に時が経ちましたが、今年もちゃみさんの大ファンです!ビタシュガ続きの展開も楽しみにしています! (2022年1月3日 0時) (レス) @page47 id: e880b33f36 (このIDを非表示/違反報告)
青空(プロフ) - やっと、慧くんがいい感じですね。 (2022年1月1日 20時) (レス) @page47 id: a1f6031022 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2021年5月1日 15時