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休日とはいえ東京の電車はいつでも混雑しているから、正直あまり好きではない。
当然空いている席なんてなくて、2人で出入り口のドアの辺りに向き合って立った。
慧「あ、スカイツリー!」
車窓にもたれかかって外を眺めていた彼が、小さく呟く。
慧「初めて見た」
A「え、」
慧「あっ、なんでもない」
A「……。」
慧「ふふ」
あ、笑ってごまかした。
タタン、タタン、と規則的なリズムで、電車は走り続ける。
A「慧ってこの辺の人じゃないの?」
慧「この辺の人だよ?」
A「嘘!スカイツリーなんてここら辺のどこからでも見えるよ?」
慧「あるんだって、見えないところも」
あるかな…?
じーっと彼の顔を見つめる。
慧「んー?」
返ってくるのは、ゆるりとした笑顔だけで。
慧「乗り換え、なんて駅だっけ?」
A「北千住…」
慧「お、すぐだね」
彼は何事もなかったようにまた、車窓にもたれかかって空を見上げた。
慧の笑顔は明るくて懐っこくて…でも、目には見えない薄い膜で覆われているような気がした。
決してこちらから彼に触れることはできない。そんな感じ。
.
徐々にスピードを落としていく電車。
乗り換えの駅に着いて、ドアが開く。
慧「行こー?」
A「あ、待って、」
軽やかなリズムで電車を降りた彼の後を、慌てて追いかけた。
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雨(プロフ) - 頑張ってください!更新楽しみにしてます!できればパスワード教えてください! (2018年7月23日 13時) (レス) id: cd068f5c5f (このIDを非表示/違反報告)
涼宮 - とても面白いです!パスワードを教えてくれませんか? (2018年7月21日 21時) (レス) id: 69077a28f6 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - 好きです!伊野尾さんののほほん感がよく描かれていて、リスペクト!尊敬してます。ちゃみさん、これからもゆっくりマイペースで大丈夫ですので、変わらず更新を続けて下さい!ずっと、応援します! (2018年7月18日 20時) (レス) id: 0cc6cf21ff (このIDを非表示/違反報告)
かんな(プロフ) - ちゃみさんの描く伊野尾くん大好きです、、!また更新たのしみにしてます!! (2018年7月18日 0時) (レス) id: 6d46aa0005 (このIDを非表示/違反報告)
希都 - ちゃみさん!私、こう言う切ない系のお話大好きなので、楽しく読ませて頂いてます!更新頑張って下さい! (2018年7月5日 21時) (レス) id: 6465792da0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2018年6月21日 20時