Chapter 2 "泡沫のような" ページ15
苦しい…
苦しい…!
苦しい!!
またあの夢だ。
でも今夜はなんだか苦しさが今までと違う。
冷たくて真っ暗な水の中、もがいてもどこにも掴まれなくて、そのうちどんどん苦しさが増して、気が遠くなっていく。
助けて、ねぇ、……!
助けて!
.
A「はぁっ、」
大きく肩で息を吸う。
ここがベッドの上だって気が付くのに暫くかかった。
夢……?
夢だった。
いつもの。
だけどその苦しさは、いつもと比べ物にならないくらいにリアルで。
夏も間近、蒸し暑い東京の夜のはずなのに、冷え切った体は震えていた。
…私、誰かの名前を呼ぼうとしていた…?
慧「…A?」
ソファの上、慧が体を起こした。
忘れてた。今日から慧がいるんだった。
なんでもない、大丈夫、そう言いたいのに、肩を震わせて呼吸をするのが精一杯だ。
慧「どした?大丈夫?」
私の異変に気付いた彼が、ベッドの淵に腰掛けて、
そのあったかい腕が、今までもずっとそうしていたみたいに私を抱きしめた。
瞬間、魔法みたいに呼吸が楽になっていく。
この人といると、不思議と心が落ち着いていくのは、やっぱり気のせいじゃない。
慧が、小さい子を寝かせるみたいに背中を優しくさすってくれた。
ほっとしたらなぜか涙がぽろぽろ溢れてきた。
なんで泣いてるのか、自分でもよく、分からない。
慧「よしよし。怖い夢見た?」
A「ひっく、」
慧「…大丈夫、俺がいるよ」
…慧、あなたは、誰?
優しい腕はその夜、私がもう一度眠りに落ちるまで、私をぎゅうっと抱きしめていた。
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雨(プロフ) - 頑張ってください!更新楽しみにしてます!できればパスワード教えてください! (2018年7月23日 13時) (レス) id: cd068f5c5f (このIDを非表示/違反報告)
涼宮 - とても面白いです!パスワードを教えてくれませんか? (2018年7月21日 21時) (レス) id: 69077a28f6 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - 好きです!伊野尾さんののほほん感がよく描かれていて、リスペクト!尊敬してます。ちゃみさん、これからもゆっくりマイペースで大丈夫ですので、変わらず更新を続けて下さい!ずっと、応援します! (2018年7月18日 20時) (レス) id: 0cc6cf21ff (このIDを非表示/違反報告)
かんな(プロフ) - ちゃみさんの描く伊野尾くん大好きです、、!また更新たのしみにしてます!! (2018年7月18日 0時) (レス) id: 6d46aa0005 (このIDを非表示/違反報告)
希都 - ちゃみさん!私、こう言う切ない系のお話大好きなので、楽しく読ませて頂いてます!更新頑張って下さい! (2018年7月5日 21時) (レス) id: 6465792da0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃみ | 作成日時:2018年6月21日 20時