好きにしいや 【JK】

30 ページ30

.



かれこれ30分。自分のバッグと小さな紙袋を持ってずっとウロウロしている。


ぐーちゃんのバイトの日にお店に行くことに決めたのはいいものの、あの雨宿りの日以来近寄らへんかった場所に足を運ぶのは、ちょっと…勇気がいる。けど、前の時嬉しいって言ってくれたし、お礼に用意したぐーちゃんの誕生石のピアスも持ってるし…。
ちなみに、ぐーちゃんには今日行くことは言ってない。


どうしたものかと思っていると、優しい低い声が聞こえた。


「入らないの？」


振り返ると………王子が、いた。


「えっと、Aちゃん、だよね？ジョングガの。」


「あ、はい。ぐーちゃ……ジョングクくんの、し、知り合いの……はい。」


王子はふふっと、それはそれは眩しい笑顔をたずさえて「なか、入ろ？」と私の手をひいた。


うわー、王子にエスコートされてるみたい。


店内に入ると、引かれた手のせいか少し注目された気もするけど、「こちらへどうぞ。」と席へ案内され、椅子まで引いてくれた。


完璧王子や…。こんな人おるんや…。


「ジョングガは今裏で仕事してるみたいだから、ちょっと待っててね。注文、決まったら教えてね。」


低い優しい声に、柔らかい物腰。思わずぽけっとみてたらクスクス笑われて、後でね、と戻っていった。



ふぅ、と息をついてメニューを開きそれをみた。





どうしようかと悩んでいるうちにぐーちゃんの声が聞こえてきた。厨房の奥から出てきたようでまだこっちには気づいてないみたい。

王子もホールの仕事をしていて、私のことは伝えてない様子。




声のするほうをみていると、白いシャツにバリスタエプロンを身につけたぐーちゃんが出てくるのが見えた。



前のキレイな声のお兄さんや、王子もそうやけど、スタイルのいい人達がここの制服を着るととんでもなくかっこいいな。



そんなことを考えて見つめていたら、ぐーちゃんの肘辺りの袖を掴む可愛らしい女の子が一緒に出てきた。



．

31→←29

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す