【探偵チームKZ事件ノート×カゲプロ】紅い目の能力者は知っている

苦手だ ページ4

「今自己紹介をしてくれたが、俺の方からもう一度紹介しよう。新しく特別クラスでお前達と勉強することになった、南波Aだ。得意な教科は理科。苦手な教科は国語。仲良くしてやってくれ」


先生が私の肩をポンと軽く叩き、元から特別クラスにいた面々たちにそう告げた。


伏せていた顔を少し上げてみる。そこで、目の前にいた女の子とバッチリ目が合ってしまった。


瞬時に女の子から目を背ける。今は見えないが、前方から息を呑む気配が伝わってきた。


流石に感じ悪かっただろうか。


目を見られる恐怖感が、未だに私の体から抜けきらない。だから、誰か知らないような人の顔を見るのは嫌いなんだ。


人はコミュニケーションをとる時、相手の目を見て話すことが多い。それは、相手を知りたいという好奇心から来る、無意識に行ってしまうような行動。


少なくとも、私は目を合わせることが苦手だ。相手の目を見たとしても、なにかが分かる訳でもない。第一、私の『目』を見て怖がられるのは、もう嫌だ。


人間って何を考えているのか分からない。


だから国語も苦手だ。


私が悶々としていると、不意に先生の声が聞こえた。


「さぁ、みんなの自己紹介も終わったことだし、各自勉強を始めてくれ」


「…え」


ふい、と、先生に視線を向ける。


私の視線に気付き、先生は「どうした？」と問いかけくる。私は慌てて目を逸らし、「なんでもないです」と答えた。


今日は顔を出すだけのつもりで来ていたのだが、どうやらそうはいかないようだ。


ふと、セトの能力が欲しいと考えてしまった。セトがどれだけ辛い思いをしたのか、ちゃんと話してもらったはずなのに。


私はどれだけ醜い心を持っているのだろう。


人間って、本当に苦手だ。

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