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トライアングル age2 ページ34

そう,私の記憶はやっぱり,間違ってなかった。つつみあゆむ。忘れたくても忘れられないその名前。結衣「花日,堤君と知り合いってホント?」音楽室から戻って来る途中,親友の蒼井結衣ちゃんが目をまん丸にして聞いてきたので,私は「うん」と頷いた。花日「幼稚園の時,同じ組だったの」一緒に廊下を歩いていた小倉まりんちゃんも,この話題に食いついてきた。まりん「えー,どんな子!?」ど,どんなって言われても……。そもそも堤君は園児の頃から,全然「子」って感じじゃなくて,幼稚園の先生からも一目置かれちゃう……みたいな大物っぽさを,何時も漂わせていた。けど,四人だけ大物っぽさをもろともせずに,揶揄っている子達もいたけど。堤君が幼稚園へ来るときは「降臨」って言われていたし,皆で使うおもちゃもナチュラルに独り占めするし(正確には,周りの子達がビビって渡しちゃうんだけど),とにかくそこにいるだけで妙な迫力のある男の子だった。花日「一言で言うと……『すべてのものはオレの物』って感じで……『帝王』って呼ばれてたよ……」どんよりした呟きから何かを察してくれたのか,結衣ちゃんとまりんちゃんは,複雑な表情でそっと顔を見合わせる。そんな話をしながら教室に戻って来ると,浜名心愛ちゃんのよく通る声が,私の耳に飛び込んできた。心愛「堤君,相川さん,東京から来たんでしょ?」堤君と紅葉ちゃんの机の前で,心愛ちゃんが大きめの雑誌を抱えて笑っている。さすが心愛ちゃん。ふわっと広がるパステルピンクのスカートも,くるんと巻いた栗色の髪も,つやつやリップもバッチリ可愛くてスキがない。心愛「心愛も東京よく行くのよ,ほらこことか」手に持っていた雑誌をぱらりとめくって,お店の紹介ページを開いて見せる。おお……,私なんか入り口に立つのもドキドキしちゃうような,ステキなお店ばっかりだ。此処の常連さんだなんて,心愛ちゃんはやっぱりすごい。六年二組のおしゃれ番長名だけはある————と,思ったら。堤「そんな本見てんだ。イナカもん」紅葉「ちょっ,歩そんな言い方しちゃだめだよ。ね?」それまで黙っていた堤君が,ペッと吐き捨てるみたいに言った。そんな,堤君を紅葉ちゃんがなだめている。心愛ちゃんの頬が赤くなった。雑誌を持つ手が怒りに震えている。うわーっ,うわーっ!まさか転校初日から,新しくできたクラスメイトに,いきなりキッツイ言葉を投げつけちゃうなんて……。しかも,相手は心愛ちゃんだよ?あんなに可愛い女の子に「イナカもん」なんて普通言うかな。

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作者名:赤司蓮華 | 作者ホームページ:蓮華のホームページ?by赤司 そんなものはありませんby黒子 相変わらず息ぴったりbyキ...  
作成日時:2022年10月3日 0時

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