〜キス・キライ・スキ〜𝒩𝑜.23 ページ30
結衣「・・・・・・あれ?」
私は周囲を見回した。こういう時,一番元気なはずの子の姿が見えなかったからだ。すると,コートの脇で背中を丸めて,体育座りの膝に顎を乗せたまま,ぼんやりしている花日を見付けた。
結衣「花日,どうしたの?」
花日「結衣ちゃん・・・・・・」
何故か泣きそうな顔をしている。こんなに元気の無い花日は見た事がない。
私もずっと調子が悪くて,あまり気をつけてあげられなかったけれど,そう言えば今日は朝から花日の様子が可笑しかった。
花日「あのね,あのね。高尾が・・・・・・」
高尾?
まりん「はーなーびー,パス練しよ!」
反対側のコートで征兄さん達の邪魔にならない所でウォーミングアップしていたまりんが手を振っている。
すると花日は,両方の手のひらで自分の顔をごしごし擦って立ち上がった。
花日「わかったー!」
あとでね,と小声で囁いて走って行ってしまう。
咄嗟に誤魔化していたけれど,もしかして花日,今泣きそうだった・・・・・・?じゃあ,あの子がそこまで落ち込むようなことを,高尾がしたって言うの?
確かに花日は,かなり高尾を警戒していたけれど・・・・・・。
そんな事を考えていたら,急にぎゅーっとおなかが痛くなってきた。立っていられなくなって,その場にしゃがみ込んでしまう。
痛い痛い痛い・・・・・・・・・。誰か,助けて・・・・・・。
最初に私のピンチに気付いたのは花日だった。直ぐにまりんも駆け戻ってきて,ふたりで背中を摩ってくれる。
結衣「ごめん・・・・・・おなか,痛くて・・・・・・」
まりん「顔色悪いもん。・・・・・・あ。もしかして,アレ?大丈夫?」
察しのいいまりんに指摘されて,私はこっそり頷いた。
その頃には異変に気付いたクラスの女子が,他にも数人集まって来ていた。けど,お姉ちゃんとさつきお姉ちゃんの姿が見当たらないなと思って,征兄さん達が試合をしていたコートの方に視線を向けた。すると,お姉ちゃんが征兄さんの方に崩れる様に倒れ込んで行く瞬間を目にしてしまった。
花日「ね,結衣ちゃん。先生に話して,休んだ方がよくない?」
花日がそう言うと,周りの女の子がそれに渋い顔をした。
女「でも・・・・・・体育休むと,男子に揶揄われるよね/そうだよ。男子ってすぐ生理生理って騒ぐから」
まりん「でもさー」
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作者名:赤司蓮華 | 作者ホームページ:蓮華のホームページ?by赤司 そんなものはありませんby黒子 相変わらず息ぴったり!by...
作成日時:2023年4月23日 0時