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〜キス・キライ・スキ〜𝒩𝑜.21 ページ28

お話はまた,前日の放課後まで遡る。
高尾と花日と征兄さんとお姉ちゃんが校舎の屋上と空き教室で大変な事になっていた,その同じ頃。
当番の仕事で,私こと蒼井結衣がしばらく職員室に行っていたら,六年二組にの教室には誰もいなくなっていた。
と思ったら,ひとりだけ,いた。教室の一番後ろ,作り付けの棚の上に胡座をかいて,こっちを見ているふてぶてしい男が。
結衣「・・・・・・桧山。まだいたんだ」
桧山「いて悪いか」
結衣「別に。でも,他の子達は帰っちゃったんでしょ?」
桧山「ざっとリコーダーの練習をやってから,すぐにいなくなった」
予想通りの返事に,私はため息をついた。先生のアイディアも虚しく,クラスの男子と女子の対立は深刻だ。このままだと来週のリコーダーのテストもどうなるか・・・・・・。
結衣「あれ,そう言えば花日とお姉ちゃんは?」
桧山「綾瀬と義姉さん(姉さん)?それなら,高尾と兄さんが連れてったぞ。綾瀬,すっげー下手だもんな。逆に義姉さんは,すっげー上手いけど。綾瀬は何処かで特訓でもれてんだろ。義姉さんも,何処かに連れてかれて練習してんのかもな」
へえ・・・・・・高尾って,意外と面倒見がいいんだ。
まあ,高尾は元々万能タイプの男子だから,花日にも,上手にリコーダーを教えてあげられるのかもしれない。
ダメなら私が教えようと思ってたけど,余計なお節介だったかな・・・・・・。
結衣「じゃあ,こっちも練習しない?」
だって一応,ペアなんだし。とは言わなかったけど。
私がケースからリコーダーを取り出して楽譜を机の上に開いても,桧山は棚の上から動こうとしない。何度か促しても「蒼井のを聴いてる」と言って,全然練習に参加してくれない。
諦めて暫くひとりで吹いていたものの,課題の楽譜を見るでもなく,かと言ってリコーダーを出す訳でもない桧山の怠けた態度に,段々腹が立ってきた。
遂に我慢が出来なくなって,私はリコーダーを口から離した。
結衣「桧山も練習しなさいよ」
桧山「・・・・・・だりぃ」
床の木目を眺めながら,退屈そうに桧山がぼやく。
それを見て,私の中で何かがプツンと切れた。
だるいのは私も同じだよ!恥ずかしいから男子には言えないけど,初めての生理でお腹も頭もすごく痛いし,なんだかずっと気持ち悪くて,イライラが止まらないのに。
結衣「やる気ないなら,私,帰る」
桧山「え?」
びっくりして顔を上げた桧山へ,ランドセルに荷物を詰め込みながら,思わずイヤミを言ってしまった。

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作者名:赤司蓮華 | 作者ホームページ:蓮華のホームページ?by赤司 そんなものはありませんby黒子 相変わらず息ぴったり!by...  
作成日時:2023年4月23日 0時

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