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〜キス・キライ・スキ〜𝒩𝑜.12 ページ19

放課後の女子トイレ。
鏡に向かって,色付きリップを塗っていた心愛ちゃんが低い声で呟いた。
心愛「空気読めよ,ババア!」
その横で手を洗っていた私に,今の暴言がウソのような可愛い仕草で,心愛ちゃんはくるんと振り向いた。
心愛「ねー,花日ちゃん。高尾くんとペア組むのは,この心愛しかいないでしょ?ねえ?」
花日「う,うん。そうだね・・・・・・」
相槌を打った私の肩をガシッと手で掴んで,心愛ちゃんはにっこり笑う。
耳元にリップでピンク色に染まった唇を寄せると,低い声でこう言った。
心愛「花日ちゃん,わかってるよね?」
花日「え?」
心愛「高尾くんは,花日ちゃんが隣の席でバカにしやすいから,構ってるだけ」
花日「う,うん・・・・・・」
わかっていたことでも,他の人から言われると胸がズキッとする。高尾が私にだけ絡んでくるのは,そういう理由なんだ。そうだよね,その通りなんだけど・・・・・・。
心愛「絶対に手,出さないでよ?」
心愛ちゃんにすごまれて,私は慌てて頷いた。
花日「大丈夫。私,男子にキョーミないし」
手を出すも何も,それこそ高尾から見たら,私は単なる隣の席のおバカな女,って言うだけの相手なわけだし。可愛い心愛ちゃんのライバルになんてならない。
心愛「ほんと〜〜〜〜?ありがとう〜〜〜〜〜」
コロッと表情を変えた心愛ちゃんは,笑顔で私の肩をぽんぽんと叩いた。
心愛「けど,花日ちゃんも髪とかサラサラで可愛いし。そのうち彼氏できるよ!」
花日「あはははは・・・・・・」
私を敵じゃないと認定したのか,急に優しい雰囲気になった心愛ちゃんは,ポーチにリップクリームを仕舞うと,ニコニコしながらトイレを出ていった。
彼氏,か・・・・・・。そんなこと言われても,よくわかんないや。
とにかくいまは,心愛ちゃんを刺激しないように気を付けながら,高尾とのリコーダーの練習頑張らないと。
よーし,頑張ろうと思った,その時。
ガタンと音がして,トイレの個室から結衣ちゃんが出て来た。
そうだった。心愛ちゃんに絡まれて忘れてたけど,そもそも此処には結衣ちゃんと来てたんだよね。でもなかなか個室から出て来ないから変だなと思っていたら・・・・・・。
元々色白な結衣ちゃんの肌が,紙のように白くなってる。凄く具合が悪そう。
花日「結衣ちゃん?」
結衣「花日・・・・・・どうしよう・・・・・・」
よろよろと歩いてきた結衣ちゃんは,私そっと耳打ちをした。
え・・・・・・──?

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作者名:赤司蓮華 | 作者ホームページ:蓮華のホームページ?by赤司 そんなものはありませんby黒子 相変わらず息ぴったり!by...  
作成日時:2023年4月23日 0時

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