〜キス・キライ・スキ〜𝒩𝑜.10 ページ17
心愛ちゃんは困り笑顔をキープしたまま，スーッと高尾の方へ寄って行った。
心愛｢高尾くんも，心愛に入れてくれたの〜〜〜〜？｣
高尾｢いや。オレ，投票してないし｣
何処までもぶっきらぼうな高尾の腕を，心愛ちゃんは｢またまたぁ〜〜〜〜｣なんて言いながら，つんつんとつついてる。
心愛ちゃんは高尾のことが好きで，何時も一生懸命アプローチをかける。でも高尾の反応は鈍くて，美少女の心愛ちゃんを特別扱いしたりしない。見慣れた光景なんだけど･･････何故かいまは，胸がチクッと痛んだ。
あれ？なんで私，心愛ちゃんが高尾に近付くと，イヤな気持ちになるんだろう。
私の疑問なんか吹き飛ばす様に，司会者エイコーが声を張り上げた。
エイコー｢そして･･････ワースト一位！ぜんっぜん人気がなかったカワイソーな女子は──｣
トモヤがまた，ダラダラダラダラ･･････と口で効果音を入れる。
周りの女の子達が，急にざわつき始めた。
女｢最下位も発表するの？/やだ･･････｣
そうだよ。せめて人気上位で名前が出るならまだ恥ずかしいだけで済む。でも最下位なんて｢嫌われてます｣って言われるのと同じだもん。誰だってイヤに決まってる。
花日｢やめよう｣
一歩踏み出した私に，エイコーが｢え？｣と不思議そうな顔をした。
花日｢皆嫌がってるよ｣
エイコーの手から，人気投票の順位が書かれたメモを取り上げようと手を伸ばす。
それに気付いたエイコーが，私の手が届かない高さまでメモを持つ手を振り上げた。
花日｢やめて｣
トモヤ｢しゃしゃり出てくるなよ，綾瀬！｣
私に紙を取らせまいとするエイコーの隣で，トモヤまで文句をつけてくる。
悔しい。でも絶対，最下位の発表なんてさせちゃダメだ。
私の行動にヤジを飛ばしてくる男子チームと，そのヤジに反撃する女子チーム。対立するクラスメイトに囲まれて，メモの争奪戦で私達が揉み合いになった。その時。
問題の紙が，スッと誰かに取り上げられた。
花日｢･･････高尾｣
エイコーの手からメモを奪ったのは，高尾だった。
エイコー｢なんで邪魔するんだよ！｣
怒鳴るエイコーに，高尾が涼しい顔で教室の入り口を指差した。
高尾｢先生，来てるし。それに，征兄さん達も凄く迷惑そうに，こっちを睨んでるよ｣
見れば担任の先生が，扉の前でふるふると怒りに震え，お姉ちゃん達は此方を睨んでいる。
エイコー｢あ･･････やべー･･････｣
エイコーが急にトーンダウンした。いつの間にか授業開始のチャイムがなっていたみたい。皆それに気付かないくらいヒートアップしていたんだ。
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作者名：赤司蓮華 | 作者ホームページ：蓮華のホームページ？by赤司 そんなものはありませんby黒子 相変わらず息ぴったり！by...
作成日時：2023年4月23日 0時
