12歳〜ちっちゃっなムネのトキメキ〜(アニメ沿いver.)vol.3 (ページ42)

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𝒩𝑜.34〜キス・キライ・スキ〜age34 ページ42

とうとう音楽の時間が来てしまった。
リコーダーのテストは，男女のペアが揃って課題曲を吹く。でも，私の前に当てられた何人かの女子は，やる気の無い態度で立ち上がってリコーダーを吹いていた。
先生｢はい，辞めて。皆･･････練習してきてないの？｣
わざと下手にやる子ばかりなので，先生は怪訝そうな顔で演奏をストップさせた。
トモヤ｢お前，昨日までちゃんと吹けてたじゃん！ちゃんとやれよな！｣
リコーダーを片手にトモヤが文句を言うと，ペアの女の子がつんと横を向いた。
女｢男子とペアでテストとかするからでーす！｣
先生｢こら！｣
先生が注意しても，そっぽを向いている。
結衣ちゃんとまりんちゃんとお姉ちゃんと蓮華お姉ちゃん以外の女子からは，くすくすと忍び笑いが漏れている。
先生｢では，次の人。綾瀬さん，高尾君｣
遂に来た！ふたりで返事をして前に出る。
心愛ちゃん達の視線が集まる。この空気がこわい。ちゃんと失敗しないと，きっと心愛ちゃん達は怒るだろう。
でも，どうしたらいい？どうしたら･･････。
高尾｢頑張ろうな，綾瀬｣
隣で高尾が呟いた。見上げるとそこに，眩しい笑顔がある。
さつき｢花日！心愛の事なんか気にせずに最高の演奏聞かせてよ！｣
蓮華｢そうそう。優斗との練習の成果見せてちょうだい｣
赤司｢俺達，花日と優斗のリコーダーのテスト，楽しみにしてたんだよ。ね？｣
黒子｢はい｣
青峰｢おう｣
緑間｢ああ｣
お姉ちゃん達も，滅多に見せない最高の笑顔で私の事を応援してくれてる。
私は，放課後の屋上を思い出した。
──綾瀬はそういうやつだよな。
高尾は何時も私を信じてくれた。カッコいいって誉めてくれた。
上手く吹けるまで何度も練習した。成功すると｢よし｣って笑ってくれた。
高尾が笑うと嬉しい。そして今，頑張ろうって言ってくれる高尾を裏切りたくない。･･････私，一緒に頑張ってくれた高尾に，悲しい顔させたくないよ。
ふたり同時に息を吸って，リコーダーを吹き始める。
柔らかい笛の音が音楽室に響いた。強く，弱く。速く，ゆっくり。
リコーダーの最後の一音が消えると，パチパチパチと先生が手を叩いた。それに続く様に，お姉ちゃん達と結衣ちゃんとまりんちゃんも手を叩いた。
先生｢はい。ふたり共，よく練習しましたね｣
結局，先生からは｢蒼井さん，小倉さん，相川さん，蓮華さん，桃井さん，青峰君以外のペアは一週間後に再テスト｣の宿題が出て，心愛ちゃん達のクーデターは失敗に終わってしまった。