紀田正臣と竜ヶ峰帝人 ページ15
『やかましい』
バシッ
「あいたっ」
『ったく...。
悪ィな。こいつバカだからさ』
「ほんっとうに俺の扱いがクッソ酷い!!」←
ふと、ユリは身に着けていた腕時計に目をやった。
時計を見た瞬間、ユリは音を立てて立ち上がり財布から自分が頼んだ品の金額を取り出し、テーブルに置く。
「え、ちょっとユリ!!」
「どこ行くんです?」
『悪い。ちょっと用があってな。先上がるわ』
そう言い放って、彼女は急いで店を後にした。
「...」
「ちょっと折原君。追わなくていいの?他の男に会ってるかもしれないんだよ?」
「ヤダな、風魔さん。......言われなくてもそのつもりだよ」
『...っ、悪い!遅くなった...!!』
先程、店を飛び出したユリは露西亜寿司を通り過ぎたところの歩道に辿り着いた。
そこには、二人の学生が居り、その制服は母校である来良学園のものだ。
「あ、ユリさん!」
『あー、ちょっと待ってくれ。
あ、紀田くんじゃ〜ん。お久ぁ〜』←
「「え...?」」
『いや、さ?やっぱり、偶然会って〜...っていう出会いにしたいわけよw←
んで?ソッチの子が、竜ヶ峰帝人クン?』
「あ、えっと、そう、です。」
「......!っと帝人、この人は百鬼ユリさん。
シングルマザーで、強い、カッコいいい人だ!!」
『カッコいい、は言い過ぎだなぁ...w
でも、シングルマザーっていうのは否定できないねw』
「百鬼さんって、ご結婚されていたんですか?」
『ハハ、ユリでいいよ。
うーん...実のところ、アタシと血は繋がっていないんだけどね?孤児だったところをアタシが拾ったっていう感じかな。
そうだ!今度遊びにおいでよ。いつでも歓迎するからさ!』
「...分かりました!」
「今度行きますわ」
『うん。待ってるよ』
「やあ」
三人が笑いながら話していると、ふと、ユリにとっては聞きなれた声がした。
妙にさわやかな声の方向を向いて、紀田は汗を額に浮かべ、ユリは嫌そうな顔をする。
帝人は二人につられてそちらの方に目を向けると、そこには爽やかな顔をした青年、折原臨也が立っていた。
嫌というほど見慣れたその顔は、眉目秀麗という容姿が良いと意味する言葉がぴったりな顔で、ユリは思わず舌打ちをこぼした。
「久しぶりだね、紀田正臣君」
「あ......ああ......どうも」
「その制服、来良学園のだねえ。あそこに入れたんだ。今日入学式?おめでとう」
____胡散臭い笑顔するんじゃねーよ...
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作者名:ダーインスレイヴ | 作成日時:2017年4月3日 12時