恐怖 ページ9
「終わったかい？」
ノックの音と同時にマルコさんの声が聞こえて、返事をすれば彼は入ってきた。
「あの、マルコさん…イゾウさんは…？」
「おれを呼んだか？A」
イゾウさんの声が聞こえてそちらに顔を向けると、優しく微笑む彼が立っていた。
「話は終わったのかい？」
「あぁ」
イゾウさんは私の頭を撫でて、目線を合わせようとしゃがんだ。
「もう歩けるか？」
頷く。
「なら、船の中を案内してやるよ」
そう言った彼の、差し出された手に自分の手を重ねた。
温かいけれど、大きい、男の人の手。
イゾウさんはゆっくり私の手を引いて部屋を出た。
マルコさんが微笑んでいたような気がしたけど、気のせいかな？
まずイゾウさんが連れてきてくれたのは、太陽の光が降り注ぐ甲板。
眩しくて目を細めると、手を目元にかざす。
イゾウさんはゆっくり歩いてくれるけど、もう大丈夫なんだけどね。それを何度か言ったのに聞き入れてくれない。
「あっ！イゾウ隊長！」
イゾウさんに気が付いたクルーの皆が彼に近づいてくる。私は思わずイゾウさんの背中に隠れる。
「お前ら、空気ってもんを読め」
「何すか？何か不都合でも？」
するとクルーの一人が私に気が付いた。
「あっ！例の漂流してたって女！目、覚めたんですか？！」
「あぁ。船の中を案内してんだよ」
隊長とか、そんな事関係なくイゾウさんに気さくに声をかける皆。
こういうのを信頼関係というのだろうか。
そんな事を考えていたら、クルーの皆に囲まれてしまい、イゾウさんと離れてしまった。
「嬢ちゃん、名前なんて言うんだ？！」
「どっから来たんだ？！」
たくさんのクルーに囲まれて、更に、イゾウさんとも離れてしまった私の心を、ある感情が支配していた。
怖い。
震える足はいう事をきかない。声を発しようとした喉からは、何の言葉も出ない。
私はその場に蹲った。
震える身体を抱き締めて、震えを抑えようとする。
怖い、怖い、怖い。
知らない男の人。
たくさんの人。
「おい、大丈夫か？！A！」
名前を呼ばれて、優しくて温かい腕の中に収まった私の震えは、嘘のように治った。
「イゾウ…さん…」
「大丈夫か？！一体どうしたんだ？急に」
「す、みません…でも、もう大丈夫ですから…気にしないでください…ホントに…大丈夫ですから…」
誤魔化すのは得意だった。
けれど、今の状態でイゾウさんを誤魔化せるわけはなかった。
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イゾウRAVU - 10才だと五年生ですよ！ (2018年12月9日 13時) (
レス) id: 0e771d3d36 (このIDを非表示/違反報告)
アベッチ - 面白いです!頑張ってください!! (2018年3月23日 16時) (レス) id: 6605acb6b9 (このIDを非表示/違反報告)
焔彩(プロフ) - コメントありがとうございます！夢主ちゃんは色恋沙汰に関しては純粋すぎるんです。故にイゾウは苦労人だったわけです。 (2018年1月21日 22時) (レス) id: 5e6d9dd208 (このIDを非表示/違反報告)
ミンハオの嫁（）(プロフ) - 夢主ちゃん純粋すぎるぅぅ！私なんて、私なんて、小5で知ってましたよぉぉ！！純粋なんて程遠いいいいい！羨ましいわっ！。。ちなみに初コメです笑笑 (2018年1月21日 20時) (レス) id: 48f96f1def (このIDを非表示/違反報告)
juantya_(プロフ) - イゾウがすきなので、こういうストーリー好きです！更新頑張って下さい！ (2018年1月14日 12時) (レス) id: 2079238fcf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：焔彩 | 作成日時：2018年1月10日 16時
